懐疑論者の祈り



177-衆-本会議-21号 平成23年05月19日

○議長(横路孝弘君) この際、内閣提出、東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案及び内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案並びに石破茂君外四名提出、東日本大震災復興再生基本法案について、順次趣旨の説明を求めます。国務大臣枝野幸男君。
    〔国務大臣枝野幸男君登壇〕

○国務大臣(枝野幸男君) 東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案について、その趣旨を御説明します。
 本年三月十一日に発生しました東日本大震災は、その被害が甚大で、被災地域が広範にわたるとともに、地震、津波及びこれらに伴う原子力発電施設の事故による複合的なものであるという点において、まさに未曾有の災害であります。
 政府としては、大震災の発生以降、捜索救助、応急復旧、避難生活の支援等に全力を挙げて取り組んできましたが、引き続き、こうした対応に万全を期しながら、被災地域の復旧、そして、将来を見据えた復興へと歩みを進めてまいる所存であります。
 この法律案は、このような状況にかんがみ、被災地域の復興を迅速に推進して社会経済の再生及び生活の再建を図り、もって現在及び将来の世代にわたる国民経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与するため、被災地域の復興についての基本理念を明らかにするとともに、被災地域の復興の司令塔となる東日本大震災復興対策本部、関係地方公共団体と緊密に連携するための現地対策本部、さらに、復興の構想づくりに幅広く英知を集めるための東日本大震災復興構想会議の設置等を行おうとするものであります。
 以上が、この法律案を提出する理由であります。
 次に、本法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、被災地域の復興の基本理念として、単なる災害復旧にとどまらない抜本的な対策を推進すること、被災地域の住民の意向を尊重すること、国民相互の連帯を基本とすること、我が国が直面する諸課題の解決に資するための先導的な取り組みを行うこと、安全な地域づくりや被災地域における雇用機会の創出と活力のある社会経済の再生、地域の特色ある文化の振興等の施策を推進すること等を規定するとともに、原子力発電施設の事故による災害を受けた地域の復興については、当該災害の復旧の状況を勘案しつつ、これらの事項を行うべきこととしております。
 第二に、国及び地方公共団体は、基本理念にのっとり、被災地域の復興に必要な措置を講ずるものとしております。
 第三に、被災地域の復興のための施策に関する基本的な方針の企画立案及び総合調整や、関係行政機関が講ずる被災地域の復興のための施策の実施の推進やその総合調整等を行うため、内閣に、内閣総理大臣を長とし、国務大臣等を本部員とする東日本大震災復興対策本部を置くとともに、本部の地方機関として、所要の地に、関係府省の副大臣等を長とする現地対策本部を置くこととしております。また、これらの事務を処理させるため、本部の事務局及び現地対策本部事務局を置くこととしております。
 第四に、東日本大震災復興対策本部に、本部長の諮問に応じて被災地域の復興に関する重要事項の調査審議等を行う東日本大震災復興構想会議を置くとともに、原子力発電施設の事故による災害を受けた地域の復興に関する重要事項の調査審議等を行うための合議制の機関を置くことができることとしております。
 なお、この法律は、被災地域の復興を迅速に推進するため、公布の日から施行することとしております。
 以上が、東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案の趣旨でございます。
 次に、内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、未曾有の災害である東日本大震災に対する政府の体制を強化するため、当分の間、国務大臣、内閣官房に置くことができる内閣総理大臣補佐官並びに内閣府に置くことができる副大臣及び大臣政務官の数を、それぞれ増加するものであります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、内閣法の一部改正であります。
 その第一点は、国務大臣について、現在、特別に必要がある場合においては、十七人以内とすることができることとされておりますが、当分の間、この上限数を三人増加し、二十人以内とすることができることとします。
 第二点は、内閣官房に置くことができる内閣総理大臣補佐官について、現在の五人以内から、当分の間、十人以内に増加することとします。
 第二に、内閣府設置法の一部改正であります。
 その第一点は、内閣府の副大臣について、現在の三人のほか、当分の間、六人以内を置くことができることとします。
 第二点は、内閣府の大臣政務官について、現在の三人のほか、当分の間、六人以内を置くことができることとします。
 以上が、内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
 何とぞ速やかに御審議をお願い申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――

○議長(横路孝弘君) 提出者石破茂君。
    〔石破茂君登壇〕

○石破茂君 ただいま議題となりました東日本大震災復興再生基本法案について、提案者を代表して、その提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
 冒頭、今回の大震災、大津波によりお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして深く哀悼の意を表しますとともに、被災地において今なお苦難の中におられる皆様方のお気持ちを思い、復旧復興の任に当たっておられるすべての方々に心より敬意を表します。
 この議場にいる恐らくすべての議員が、被災地を訪れ、まさしくこの世の地獄ともいうべき光景を前に、言葉を失い、茫然自失の状態に陥ったはずです。被災者の方々の悲痛な訴えをお聞きし、ともに手をとり涙しなかった者も、恐らく一人もいないでありましょう。
 我々国会の責務は、一日も早く、すべての被災者の方々を困窮から救い、被災地を復旧復興させ、二十一世紀半ばの祖国日本のあるべき姿をこの地に実現させることであると信じます。
 東日本大震災とこれに伴う大津波は、現代を生きる我々日本人がかつて経験したことのない、まさしく未曾有の災害であります。
 平成七年、我々は、阪神・淡路大震災を経験いたしました。この震災も、極めて被害が甚大な、まことに悲惨なものでありました。しかし、今回の地震、大津波は、阪神・淡路とは全くその様相を異にするものであり、復興に当たっての取り組みも、全く新たな観点によるべきことは当然であります。阪神・淡路において成功したスキームを今回もまた踏襲するということは、認識が大きく誤っていると言わなければなりません。
 阪神・淡路大震災の被害は、財政力が他の地域に比べて比較的強い兵庫県、なかんずく神戸市周辺に集中したものでありました。国の財政も、当時の国債発行残高は二百兆円程度でありました。近隣の地域には職場もなお健在であり、復旧復興に向けての取り組みはかなり迅速に行われ、神戸を中心とする地域は、見事によみがえりました。
 しかし、今回は、北海道から関東まで多くの都道県に被害が及び、自治体の多くは財政力が極めて脆弱であり、少子高齢化は急速に進行し、基幹産業であった第一次産業は壊滅的な打撃を受けました。自治体そのものの機能が失われたところもまた多く、職場もそのほとんどが失われております。
 津波は、とうとい人々の命、幸せな家族の住みかであった家屋、生活の糧を得る職場、それらすべてを一瞬にして流し去り、後に残ったのは、ただ大きなマイナスだけであります。加えて、かつて経験したことのない原子力発電施設の事故による被害は、現在、今なお進行中であります。
 地震、津波、原発事故、電力不足という四つの事象が連鎖した形で発生している、まさしく未曾有の国難であります。国並びに地方の財政は極端に悪化し、国債発行残高だけでも阪神・淡路大震災当時の三倍を優に超えるに至っております。
 こうした中で今回の大震災、大津波に対応するに当たっては、単なる復旧にとどまるべきではなく、今後の我が国のあるべき姿を先取りする形で、地域の再生、ひいては日本の再生を図っていくことが不可欠であり、そういう意味から私たちは復興再生を目指すべきであると考えております。
 復興再生を円滑かつ迅速に推進していくためには、その基本理念を明確に定めること、復興再生に関する計画の策定その他の基本となる事項を定める必要があります。加えて、復興再生に関する企画立案及び総合調整と、その施策の一元的な実施を行う強力な権限を持つ行政組織の設置が絶対に必要であると考えます。
 今回提出された政府案では、企画立案、総合調整のみしか行わない復興対策本部を設置するにとどまっており、また、復興再生に関する計画や資金の確保に関する具体的規定がないなど、既に大震災発生から二カ月超が経過する中で提出する法案としては、極めて不十分な内容と言わざるを得ません。
 多くの本部が乱立し、多数の内閣参与が任命され、指揮系統に混乱が生じている状況が続いておりますが、ようやく出てきた法案は、ほとんど阪神・淡路大震災のときの体制をそのまま踏襲した、いわば焼き直し版でしかありません。この二カ月は一体何であったのか。空白の二カ月ともいうべきであります。
 このような点を踏まえ、我々の考え方に沿って復興再生が行われるべきであるとの認識に立ち、本法律案を提出することといたしたものであります。
 本法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、復興再生に当たっての基本理念を定めております。
 東日本大震災からの復興再生は、単なる原形復旧ではなく、二十一世紀半ばのあるべき姿を目指すことを旨として行われなければならないこととした上で、国は、地方公共団体と協力し、かつ、被災地域の住民の意向を最大限に尊重しつつ、主体的に復興再生を推進することを明記するとともに、国民一人一人の総力と官民の英知を結集して、総力を挙げて復興再生を推進することといたしております。
 第二に、復興再生に関する計画についてであります。
 まず、政府は、計画期間を十カ年とする復興再生基本計画を策定することといたしております。また、被災した県または市町村は、国の復興再生基本計画を踏まえつつも、それぞれの県または市町村の被災状況に応じ、当該県または市町村の区域における復興再生に関する施策についての復興再生計画を策定するものといたしております。
 第三に、復興再生に関する基本的施策を定めております。
 この中では、特に資金の確保に関して、徹底的な歳出削減と財政投融資に係る資金や民間資金の活用について定めておるほか、政府は、復興再生に係る歳出の財源に充てるために復興再生債を発行することができること、その際には、あらかじめ、復興再生債の償還の道筋を明らかにしなければならないこと等についても明記しております。
 第四に、東日本大震災からの復興再生に関する事務を行う東日本大震災復興再生院を設置することとし、その組織編成に関する基本方針を定めております。
 この復興再生院は、企画立案、総合調整のみならず、施策の実施まで行うこととし、復興再生に関する事務を一元的に行う機関といたしております。
 復興再生院の職員には、民間の知恵と活力を生かすため、広く行政組織の内外から人材を登用することとし、また、被災地域の意向を尊重するため、当該地域の職員等を採用するように特に配慮することといたしております。
 加えて、復興再生に関する重要事項について調査審議するため、復興再生院に設置される第三者機関である復興再生委員会の構成員に、被災した地方公共団体の長等が含まれることを明記いたしております。
 以上が、本法律案の提案理由説明及びその概要であります。
 国は、地方の意見を最大限に尊重しつつ、主体的にその役割を果たさねばなりません。被害が多くの県に広域的にまたがるのみならず、新しい東日本像、さらには日本の国家像を実現するためには、これは極めて当然のことであります。
 阪神大震災において復興費用は国費で約五兆円でありましたが、今回は、最低でもその二倍、恐らくは三倍以上になると予測されます。欧州の信用不安問題が示すごとく、財政と金融との相関関係は極めて密接であり、復興債を発行するに当たっては、震災対策以外の経費を可能な限り節減することは当然であり、復興債の消化、償還についてもきちんと道筋を示さなくてはなりません。震災前から、我が国の財政は既に危機的でありました。日本だけが特別であると考える考え方は、極めて危険であります。
 復興再生院は、企画立案、総合調整のみならず、実施までをその任務とし、ワンストップですべてに対応できる強力な官庁、言うなればスーパー官庁として位置づけられるものであります。
 省庁間の縦割り構造は、この危急存亡のときに当たっては、断固これを排さねばなりません。この点について、さきの予算委員会で私が菅総理にただした際、総理は、権限をどちらが持つかということに対して霞が関は非常に敏感な性格を持っている、権限の切り分けの作業には相当程度の力が必要であり、これをやり切るには、まさに大きな政治力が必要となるものと考えていると答弁されました。まさしくそのとおりであります。
 私は、五月三日、女川町の被災地を訪れ、その惨状を目の当たりにし、その夜は、避難所に泊まって被災者の方々の声を聞かせていただきました。
 だれに言えば私たちの思いが通じるのか。政治家がたくさん来て話は聞いてくれるが、ちっとも、何にも前に進まない。ここに言えばすべてが解決する、そんなところが欲しいんだ。あっちに行け、こっちに行け。我々が何であちこちに行かねばならないんだ。政治は本当に私たちのことがわかっているのか。その被災者の方の声が耳に残って、片時も離れません。
 総理がいみじくも口にされた、権限について持っている霞が関の非常に敏感な性格、これを乗り越えることこそが政治の役割であります。そのためにこそ、我々は、これも総理が言われた言葉ですからそのまま使いましょう、強い政治力を発揮し、被災地の声にこたえねばなりません。
 国民の資産でもある官僚組織を、スタッフとして、信頼関係を構築して使いこなすこともまた政治の役割なのであります。何の相談もせず、独断で結論だけを口にし、混乱のみを生じさせることを政治主導とは言いません。
 強い政治力を履き違えてはなりません。一歩間違えば、これは、法治国家や民主主義体制の破壊につながりかねないものであることをよく認識すべきであります。
 霞が関の悪癖である権限争いを、今こそ、正しい意味の政治主導で乗り越えなくてはなりません。屋上屋を重ねるとか二重行政になるとか、この二つこそ官僚組織の常套句であります。しかし、権限が束ねられることによってこそ、窓口は一本化され、地方にとって使い勝手のよい組織となるのであります。
 霞が関の論理で動くのか、地方の論理で動くのか、我々はここを強く認識すべきであります。官僚組織の抵抗を恐れる余り、これにおもねるようなことがあっては断じてなりません。
 すべての行政は国民のために行われる、すべての責任は政治がとる、あらゆる称賛と栄誉は現場に与えられる、これこそが、我々自民党が目指す政治と官僚組織との関係であります。この真逆の、すべての責任は現場に負わせ、称賛と栄誉は政治に与えられるようであっては、官僚組織は機能せず、国民は不幸になるばかりであります。
 国民に対する真摯な気持ち、被災地、被災者に対する誠意、強い使命感と情熱、官僚組織との本当の信頼関係があれば、これができないはずはありません。それがもしできないとするならば、もはや政権を担う資格がないことをみずから明らかにしたにほかならないのであります。
 自由民主党は、発災以来、全党的な議論を積み重ね、最も望ましいものとしてこの法案を提出いたしております。何とぞ議員各位の御賛同を賜りますよう心よりこいねがい、私の提案理由の説明といたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案(内閣提出)及び内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに東日本大震災復興再生基本法案(石破茂君外四名提出)の趣旨説明に対する質疑

○議長(横路孝弘君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。山口壯君。
    〔山口壯君登壇〕

○山口壯君 民主党の山口壯です。
 このたび議題となりました東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案並びに内閣法及び内閣府設置法の一部改正案について質問します。(拍手)
 東日本大震災の発生から、はや二カ月余り、改めて、震災により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族の方々に心からお悔やみ申し上げます。また、負傷された方々、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
 十六年前の阪神・淡路の大震災のときも大変でしたけれども、今回の大震災は、幾つもの県をまたぐ規模もさることながら、それぞれの県において状況も異なっており、福島県においては、原発事故という極めて異例の事態となっています。
 先日も被災地に行きましたが、田んぼに多くの車と船がまだそのまま転がっているのみならず、代々大事に耕してきた田んぼが深いヘドロに覆われたさまは、復興作業の大変さを思わせるに十分でした。漁港も壊滅状態のまま、もはや堤防もなし。瓦れき処理の作業もまだまだ続きます。その中で、それぞれの地域が、何とか力を振り絞って、立ち上がろうとしています。
 今回の復興においては、地域のニーズを酌み上げた被災自治体主導の復興とする方がよい、すなわち、地方の立案を政府がバックアップするとのスタイルが求められていると考えますが、この点は政府提出法案において確保されているのでしょうか。お答えください。
 基本法案をめぐる一つのポイントは、復興庁についてです。
 復興庁について、政府案では、附則に再検討条項を設け、急ぐので、とりあえずは今の省庁体制で復興施策を実施するが、やってみて、状況を見きわめ、復興庁を設置した方がよいと判断すれば設置するとなっています。
 確かに、復興施策について、復興庁をつくるまで待つというわけにはいかないので、今は復興庁の設置なしにスタートするとしても、将来、復興が本格化するような段階では、総理を長とする閣僚級の復興対策本部のようなハイレベルの本部組織で引き続き進めることが本当に適当かどうかについては、今、決めつけてしまわない方がよいと思います。
 私自身は、四六時中復興のことを考え続ける省庁がいずれは設置されるべきと考えます。将来の復興庁設置など、復興推進体制の見直しの有無について、官房長官の見解を伺います。
 菅総理、今回、内閣法の改正により大臣を三人ふやすことになっており、そのうち一人は、復興基本法案の第八条において東日本大震災復興対策担当大臣とすることが読み取れますが、あとの二人はどのような担当をお考えでしょうか。他の政務三役の増員についても、先ほど官房長官から復興対策本部の現地本部長にするとの説明がありましたけれども、全体としてどのような構想をお持ちか、お伺いします。
 なお、自民党提出法案では復興再生院を設置することとなっていますが、復興再生院が設置されるまでの間、復興再生基本計画の作成や復興再生の推進のための取り組みは、だれが、どのような体制で行うのでしょうか。また、復興再生院が実施する事業範囲について明確ではなく、各省庁で行っている事業との関係や権限の切り分けはどのようになるのか、自民党の法案提出者の方に伺います。
 今回は国家戦略的見地もしっかり持ちながら復興を進めなければならないとの点について、だれも異論はないと思います。玄葉国家戦略担当大臣、復興のグランドデザインについてどのように考えておられますか。お聞かせください。
 福島の原発の事故については、見えない放射能の恐怖の中で現場で闘っている作業員の方々をアメリカの雑誌はヒーローとたたえました。本当に誇りに思います。
 今、私たち民主党の原子力事故影響対策プロジェクトチームでは、先日の賠償スキームに関する集中的な議論を経て、さらに、事故の根本的解決に向けてさまざまの提言を取りまとめつつありますが、私は、原発については、これまで日本には少々おごりがあったのではないかと危惧しています。
 原子力技術から、平和利用の原子力発電、軍事利用の原爆へと派生しました。極言すれば、原発は原爆と裏表の関係であり、原爆を持っていない日本としては、何か事故が起こった際の危機管理について、原爆を持っていて、その事故時の手順を決めている米、英、仏、ロに、本来、もっと頼るべきではないでしょうか。
 福島第一原子力発電所の事故について、アメリカとイギリスを中心とした原子力のエキスパートを日本に連れてきて世界最強のチームをつくり、解決策をまとめると同時に、世界に向けて統一的に発表もしていくという案について、官房長官、いかがでしょうか。
 総理が今月のフランスのサミットに出席される際、そのようなチームをつくりたいから協力してくださいと素直に言うと、かえって世界は安心するのではないかと思います。
 原子力発電については、戦後一貫して国策として進めてきたことから、国として、もっと責任感を感じさせる対応が求められます。加えて、今回の福島第一原子力発電所の事故を通じて明らかになりつつあるように、原子力発電という巨大リスクを電力会社が一民間企業として抱えることはもはや無理です。
 識者の一人、例えば大前研一氏は、原発事業を続けるのであれば、国が公営公社のようなものをつくってやるしかない、国そのものが原子力発電を行って東電や東北電力などに売電する、電力会社としては、火力、水力その他の発電は、望むなら継続していいが、民間や外資の発電事業への参入は自由化すべきと主張しています。
 また、昨日、菅総理は保安院の独立にも言及されたと報道されています。今後の原子力政策について、政府の考え方をお聞かせください。
 他方、原子力損害賠償について、一刻も早く被災者の方々への支払いが可能になるように、十三日に菅総理を交えた閣僚会合で決定された賠償スキームについて、今国会に法案を提出し、成立を期すべきと考えます。菅総理の決意をお述べください。
 進化論を説いたダーウィンは、なぜ、大きな恐竜たちが滅び、小さな哺乳類が生き延びたかについて、強いものが生き残るのではない、賢いものが生き残るのでもない、みずからを変えるもののみが生き残ってきたのだと言ったと言われています。この言葉は、今、我々国会議員の胸に深く突き刺さるのではないでしょうか。まず、国会の私たちが変わりましょう。
 復興基本法案として、政府案と自民党案との間に違いはありますが、心を尽くし、知恵を尽くせば、一本の白い道が必ず見つかると思います。でなければ、余りに多くの亡くなられた方々に申しわけが立ちません。
 第三の国難を乗り越えるために、みんなで、頑張ろう日本。お願いします。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

○小池百合子君 自由民主党の小池百合子でございます。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、ただいま議題となりました政府提出の東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案並びに自由民主党提出の東日本大震災復興再生基本法案について質問をいたします。(拍手)
 初めに、被災地の皆様方には、改めて心からのお悔やみとお見舞いを申し上げたく存じます。
 三月十一日の発災後既に二カ月以上が経過したにもかかわらず、いまだ全体の被害規模の把握すら不十分なまま、対応は後手後手に回っていると言わざるを得ません。今なお、避難所での息の詰まる生活を余儀なくされている被災者の数は十一万人を超えたまま。
 加えて、福島第一原子力発電所事故も一向に収束する気配が見えません。計画的避難区域の設定で新たな避難住民を生み出すなど、国民が塗炭の苦しみに悩んでいるその原因は、ひとえに行政の無策にあります。いわば行政災害の様相を呈してきていると断ぜざるを得ません。
 私自身が経験をいたしました阪神大震災の場合と比較をいたしましても、すべてがツーリトル、ツーレート、そしてツーメニーであります。
 ツーリトルといえば、第一次補正予算の額は、わずか四兆百五十三億円。予算成立後は、当然、シームレスに第二次補正予算が続くものと思い、自民党は予算成立に協力をしたわけでありますが、被災地から第二次補正予算の策定を強く求められているにもかかわらず、秋まで持ち越しでしょうか。これぞツーレートそのものであります。
 被災地で一体総理は何を視察されてきたのでしょうか。信じられない対応の遅さではありませんか。総理、ここで二次補正のスケジュールを明確にお示しいただきたい。
 ツーメニーは、言うまでもなく、復興構想会議を初め、震災直後から乱立する対策本部やさまざまな会議であります。おまけに、権限が不明確で、統制がとれているとは言えません。本部数だけでも六つ。五月九日付で三つにまとめたとはいえ、いまだに明確に機能している様子はございません。対策本部のもとに、単純に、これまでつくった対策室や対応チームをぶら下げただけではありませんか。
 総理、自民党が提唱する復興再生院にすっきりまとめられたらいかがでしょうか。御答弁を願います。
 ツーメニーの例は、内閣参与の数であります。今、一体何人おられるのでしょうか。セカンドオピニオンを聞くためとのことでありますが、そもそもファーストオピニオンは聞いておられるのでしょうか。それはだれから聞いておられるのか、お答えをいただきたい。
 ちなみに、あなたが任命した内閣参与の辞任や放言が続いております。それは、すなわち、任命した総理のリーダーシップの欠如にほかなりません。
 例えば、四月二十九日付で、原子力専門家の小佐古東大大学院教授は、政府の対策は法にのっとっておらず場当たり的だと抗議し、辞任。
 内閣参与で劇作家の平田オリザ氏は、ソウルでの講演会で、東京電力が福島第一原発から放射性物質を含む汚染水を放出した件はアメリカ政府からの強い要請によるものと発言したとの報道がございます。
 官房長官、実際にアメリカ政府からそのような要請があったのでしょうか。明らかにしていただきたい。さらに、内閣参与のこのような対外的発言は守秘義務に抵触しないのでしょうか。お尋ねをいたします。
 まだあります。篠原孝農林水産副大臣は、内閣参与の五十嵐法政大学教授に、政権から去られた方がよいのではないかと迫ったと伝えられております。その際、篠原副大臣は、仲間ばかりで政策をつくっていては政権は瓦解する、政権内の風通しをよくするために、菅首相は参与を乱発すべきではないと、的確な指摘をされておられます。
 さらに加えまして、福島第一原発の避難区域に関して、十年、二十年は住めないとの菅総理発言を伝えた松本健一参与の話もございます。
 総理、船頭多くして船山に登るということわざがあります。あれこれ指示する人が多いため、かえって物事の進行が妨げられる例えでありますが、今まさに、このような状況を迎えているのではありませんか。内閣参与のあり方を含め、整理するお考えはあるのかどうか、お聞かせをいただきたい。
 政府・与党の国会対応にも強く抗議をいたします。
 五月十三日に、与党は、自民、公明、共産、みんなの各党が欠席する中、まだ委員も出そろっていない郵政改革に関する特別委員会を強行に開会し、一方的に委員長、理事を互選するという暴挙に出ました。この強引な郵政特別委員会の開会は、これまでの信頼関係を根本から崩し、我々の誠意を踏みにじるものであります。
 そもそも、現在の菅政権には、国家の緊急時に対応しているという自覚が余りにもなさ過ぎます。震災の傷がいえない時期に与野党合意なき特別委員会を開会することの正当性はどこにもなく、国民の理解は得られません。政府・与党の頭にあったのは、ひたすら菅政権の延命を図る、党利党略のみであります。我々自民党としては、このような国民不在の手法に一切手をかすつもりはない、このように明言をいたしておきます。
 我が党は、被災地の皆さんとのきずなをもとに、震災復興に全力を尽くしてまいります。日本復興に全力を尽くしてまいります。その思いを胸に、法案について質問をさせていただきます。
 まず、政府提出の復興基本法案について伺います。
 復興対策本部については、そもそも震災後七十日たってからやっと設置すること自体、余りにツーレートであります。この復興対策本部は、総理を本部長とするほか、副本部長及び本部員には閣僚全員が入っております。これは、緊急災害対策本部、原子力災害対策本部とほぼ同じ陣容でありますが、これらが内閣府に設置されるものであるのに対しまして、復興対策本部は内閣に置かれる点が異なっている点であります。
 屋上屋を重ねる懸念もありますが、総理、この違いはどのような意味があるのか、これについて説明を求めます。
 特に、内閣官房の所掌事務とされています内閣の重要政策に関する基本的な方針等に関する企画立案、総合調整事務、さらには、内閣官房を助ける形で行われる内閣府の企画立案、総合調整事務と、復興対策本部の所掌事務であります被災地域の復興のための施策に関する基本的な方針に関する企画立案、総合調整事務との関係は、一体、法的にどのようにされているのでしょうか。総理から明確な答弁を求めます。
 次に、復興庁について伺います。
 政府案の附則第二条には、復興庁なる組織を設置すること等について総合的に検討する旨の規定が設けられておりますが、復興対策本部とこの復興庁との関係については何ら述べられておりません。復興対策本部を組織がえして復興庁にするのか、それとも、復興対策本部と復興庁は両立することも可能なのかを含めまして、この復興庁という組織としてどのようなものを想定されているのか、総理の明確な答弁を求めます。
 そもそも、復興庁を必要とするのであれば、初めからそのような法案を提出すればよいのであります。野党の意見に配慮するのであれば、もっと事前に十分な協議を行い、与野党歩み寄った上で法案を出すべきであり、極めて中途半端な扱いでは、単なるガス抜きとしか言えないのであります。附則を規定した趣旨を、総理、明確にお答えいただきます。
 次に、自民党案の提出者にお尋ねをいたします。
 政府案の復興対策本部に対して、自民党案では、復興再生院という組織を設置し、その組織編成の基本的方針に関する規定が設けられております。まず、この復興再生院と、政府案の復興対策本部、あるいは附則の復興庁との相違点について、わかりやすく説明を願います。
 次に、国の責務及び地方の関与について、自民党案では、第五条において、「国は、二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を示すとともに、前三条に定める基本理念にのっとり、東日本大震災からの復興再生に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。」と明記されております。その志の高さが浮かび上がってまいります。国の責務について、政府案との相違点をわかりやすく御説明願います。
 加えて、地方、特に被災地域との関係は極めて重要な点であります。復興再生に当たっての国と地方公共団体の役割について説明を願います。
 さらに、自民党案では、国の復興再生基本計画と、被災した県または市町村の復興再生計画に関する規定を設けた上で、これに基づく施策の迅速な実施、円滑かつ弾力的な執行が定められております。また、これに要する資金の確保のための措置等に関する規定、復興以外の予算の徹底的な見直しと削減、財政投融資資金及び民間資金の積極的な活用、さらには復興再生債の発行の根拠規定を整備することを盛り込んでおります。
 政府案には、このような規定は一切ありません。題名に「基本方針」とうたっているにもかかわらず、「基本理念にのっとり、」「別に法律で定める措置その他の措置を講ずるものとする。」とする規定があるだけであります。
 基本法案の中にこのような具体的な規定を設けた趣旨は何でしょうか。提案者の基本的な考えについて御説明を願います。
 政府案と自民党案を比較いたしましての私の感想を申し上げるならば、政府案が阪神・淡路大震災時の復興基本法をなぞっただけのものであるのに対しまして、自民党案は、今回の大震災を国難ととらえた上で、復興再生に対する国の主体的関与を前面に出しております。官僚的発想にとらわれない大胆な復興組織を創設するということでこの国難を乗り越えようという、国会議員としての責任のあらわれであるとの感を強く持ったところであります。総理、そもそもあなたは国民の生命財産を守る気概が本当にあるのか、疑いたくなるところであります。
 最後に、私の座右の書であります「失敗の本質」は、太平洋戦争で日本軍が行いましたさまざまな作戦を冷静に分析したことで定評のある書であります。戦力の逐次投入、補給を軽視した人海作戦、指揮官のスタンドプレー、縦割り組織の弊害と情報の軽視、精神論だけでは続かない劣悪な環境、そして国民には大本営発表であります。どれをとっても、余りにも現在の菅政権による現状と重なるではありませんか。総理、ぜひとも歴史からも学んでいただきたいと思います。
 与党の皆様方にも、虚心坦懐に両案を読み比べて、いずれが我が国、被災者そして国民のための法律になるか、このことを冷静に御判断いただくことを切にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

○内閣総理大臣(菅直人君) 小池百合子議員にお答えを申し上げます。
 まず第一に、今後の補正予算についての御質問をいただきました。
 先日の五月二日、四兆円を超える規模の補正予算を全党会派一致で成立をさせていただきました。まずお礼を申し上げたいと思います。まずは、この一次補正に盛り込まれた瓦れきの処理、仮設住宅、ライフラインの復旧などの事業を迅速かつ着実に実施していく、そして復興の基盤づくりを図っていくことが重要だと考えております。
 復興については、復興構想会議で創造的な復興について御議論をいただいており、六月末に提言をいただくことになっております。また、自治体の具体的な復興計画なども踏まえて今後の復興を検討する必要がある、このように考えております。
 したがって、当面、一次補正予算の執行に全力で取り組むわけですが、その上で、二次補正予算については、講ずるべき施策の必要性、緊急性など、その中身や時期を見きわめつつ検討してまいりたい、このように考えております。
 次に、復興を推進する体制についての御質問をいただきました。
 東日本大震災関係の政府組織については、御指摘のとおり、五月九日付で、緊急災害対策本部、原子力災害対策本部及び本法案で提案させていただいている復興対策本部の三つに整理し、指揮命令系統の明確化を改めて図ったところであり、その適切な運用を図ってまいりたいと思っております。
 復旧及び応急の対応のための体制である緊急災害対策本部と原子力災害対策本部は、御承知のように、法律に基づいて設置されたものであり、今般は、これに加えて、この法案で提案をいたしております復興対策本部を設置しようとしているものであります。
 次に、内閣参与の数について、さらにはそのあり方について、一括してお答えをいたします。
 内閣官房参与は、内閣総理大臣の諮問に答え、意見を述べるために設けている、一般職の非常勤の国家公務員であります。現在十四名の方に内閣官房参与をお願いいたしております。
 ファーストオピニオンをどこから得ているかということでありますが、内閣総理大臣あるいは対策本部長としては、関係する大臣や、あるいは副大臣、政務官、さらに行政機構の官僚の皆さんからの提案、助言を受けているのは当然のことであります。
 例えば、原子力の分野では、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、さらには経済産業省、文部科学省などの各関係省庁の官僚の皆さんあるいは委員の皆さんからお話を聞いております。これらの機関からの提案、助言に関しては、各閣僚や政務三役、そして私自身も、もちろんですが、聞いているところであります。
 同時に、政府関係組織以外からも専門的な知見を持った方に必要に応じアドバイスをもらうことも、官民の英知の結集という視点からは有意義なことであると考えております。
 当然のことでありますが、最終的な決断は内閣総理大臣である私が下すことになりますが、今後とも、内閣官房参与の意見を参考として、その助けとしてまいりたいと考えております。
 次に、復興対策本部と内閣官房との関係についての御質問をいただきました。
 今般の大震災では、大規模な地震と津波に加え、原発事故が重なるという未曾有の複合災害に直面をいたしまして、その被害も極めて広範囲に及んでおります。
 このため、震災発生のその日に、法律に基づいて緊急災害対策本部と原子力災害対策本部の二つの本部を設置し、被災者の救助救援、災害復旧活動と原発事故への対応に全力を挙げてきたところであります。この二つの本部は、内閣府の防災等の業務の一環として、既存の法律に基づいて、その法律によって設置をいたしたものであります。
 これに対して、今回提案している復興対策本部は、単なる応急対策や復旧を超えて、幅広い観点から検討、推進されるべき復興のための総合調整を行う機関でありまして、内閣府が担っている防災等の業務の範囲を超えるものであることから、内閣官房の総合調整機能の一環として、今般の法律により内閣に設置することといたしたいということで提案しているものであります。
 次に、附則二条を規定した趣旨についての御質問をいただきました。
 政府としては、被災地域の復興に向けた推進体制を一日も早く立ち上げる必要があると考えており、法案では、まず、復興対策本部を設置し、復興を強力に推進することといたしております。
 一方、復興庁については、復興の推進状況等を勘案しつつ、一年以内をめどとして、各方面の意見を伺いながら必要な検討を行う旨を附則に規定いたしているところであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣枝野幸男君登壇〕

○齋藤健君 小池議員の御質問にお答え申し上げます。
 復興再生院についてお尋ねがございました。
 復興再生院は、例えて言えば、復興再生事務を企画立案、総合調整から施策の実施に至るまで一手に引き受けるスーパー官庁であり、復興再生に特化して設ける、期間限定の機関であります。
 復興再生院をこのような機関とした趣旨は、次の三点に集約できます。
 第一に、平時の省庁別の対応ではなく、新組織によって縦割り行政を排除することとし、国土交通省、農林水産省のような事業官庁を含め、権限、責任、予算を一元化することであります。
 第二に、強力な政治主導のもとで、新組織が施策の企画立案から実施まで一元的に行うことによりまして、道路、鉄道、港湾、都市計画、農地整備などなど、これまで各局各省がばらばらに所管していたものを、整合的、効率的かつ迅速に行うことが可能となるということであります。
 第三に、権限を束ねることで窓口が一本化されることにより、地方にとって使い勝手がよい仕組みとするということであります。
 いずれにしても、我が党提案の基本法案は、新しい日本を被災地で先取りして実現していこうというものであり、その中核を担う組織そのものも、従来型の組織ではなく、新しい日本を先取りした組織でなければならないと考えているわけであります。
 次に、復興再生院と政府案本則の復興対策本部及び政府案附則の復興庁の相違点についてお尋ねがございました。
 政府案の復興対策本部は、施策の実施に関しては、従来どおりの縦割り行政から抜け出せておりません。また、政府案の附則で検討することとされている復興庁についても、施策の実施権限は他省庁が持っており、企画立案、総合調整を行うにとどまっております。これでは、内閣府のもとに位置づけられるミニ調整官庁のようなものでしかなく、被災地から見れば、復興庁にした同じ話を国土交通省や農林水産省にもしなければならなくなるのは目に見えております。これでは、新しい日本を東日本で実現していくことはできません。
 以上が、本法案の復興再生院と政府案の復興対策本部及び復興庁との違いであります。
 次に、復興再生計画に関する規定や、復興再生に要する資金の確保のための措置等に関する規定が設けられた趣旨についてのお尋ねがございました。
 そもそも、発災後二カ月余りを経過した後に提出される基本法案は、発災後一カ月で提出、可決された阪神・淡路大震災の復興基本法よりも中身を充実させたものにするのは当然のことであります。
 今回の震災は、その被災地の広大さ、インパクトの大きさ等々未曾有の国難であり、その対応に当たっては、今後の我が国のあるべき姿を先取りする形で、つまり、被災地で新しい日本をつくっていくんだという気構えで総合的、計画的に行っていくべきことは当然のことであります。このため、復興再生に係る計画を定め、これに基づいて、総合的、計画的に関連施策を実施していくこととしております。
 そして、この計画に基づく個別具体的な施策の実施に当たっては、現下の厳しい財政事情に思いをいたせば、資金の確保について明文の規定を設けることは当然のことではないでしょうか。
 他方、政府案を見ますと、復興再生に関する施策の計画的実施についても、そのために必要な資金についても、何ら言及されておりません。
 政府案は、発災後一カ月で提出、可決された阪神・淡路大震災の基本法をなぞったものにすぎず、発災後二カ月以上経過した時点で提出された基本法案としては甚だ不十分であり、復興をどうしていくかという観点からの法的措置としては、まさに空白の二カ月であったと言わざるを得ません。理解に苦しむばかりであります。(拍手)
    ―――――――――――――

○高木毅君 自由民主党の高木毅です。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案について、総理に対し質問をいたします。(拍手)
 質問に先立ち、東日本大震災により亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 このたびの国家的試練に対し、我が自由民主党も、震災に対応するためのさまざまな提言をしてまいりました。そして、今後も、被災地の復興と発展に資する施策であれば与野党の枠を超えて協力していく考えを、まず表明させていただきます。
 しかし、なぜ、今、閣僚の増員なのでしょうか。
 巨大な津波による被災者の救出や原子力発電所の事故への対応など緊急な対応が求められる震災発生直後に震災担当大臣を置くなどの増員であれば理解できますが、震災から二カ月以上たってからの法案提出は、極めて不可解であります。
 提出まで、なぜこんなに時間がかかったのですか。その理由について、明確な答弁を求めます。
 閣僚増員の理由について、当初、政府・与党は、閣僚の兼務を緩和するためのものである旨の説明をしていました。その後に、我が党の谷垣総裁に対して唐突とも言える入閣要請があり、いつの間にか、閣僚増員の理由は、震災対応のためということに変わってしまったのであります。もしも、他の政党を巻き込むことで菅総理が政権の延命を図ろうとしているならば、あるいはポストをふやすことで内閣の求心力を高めようとしているならば、それは、震災を利用した許しがたい重大な問題であります。
 閣僚増員の理由が変質したことにつき、どのような理由なのか、お答えください。
 平成七年の阪神・淡路大震災の際、当時の村山内閣は、震災発生の三日後に我が党の小里貞利氏を震災担当大臣に任命し、小里大臣の強力なリーダーシップにより震災の危機を乗り切りました。
 増員しなければ復興に支障が出るというのならば、菅総理、早々に政権の座をおり、豊富な経験を持つ我々に震災復興を託していただきたい。いかがですか、菅総理。
 そもそも、閣僚を増員すれば懸案事項は解決するのでしょうか。震災後に乱立した多数の会議や対策本部は、未曾有の複合災害に対する意思決定を複雑にしただけで、それは厳しい批判を浴びてきました。いたずらに閣僚を増員することは、責任と権限の一元化に反するものであり、政府が機能的にこの未曾有の災害に対応できるようになるのかどうか、甚だ疑問であります。
 増員の結果、どのように閣僚間の所掌を整理するのか、また一方、なぜ現有の閣僚間で調整と対応ができないのか、はっきりとした説明を求めます。
 総理が任命した小佐古内閣官房参与は、政府の対応は法にのっとっておらず、だれが決定したかも明らかでなく、納得できない、今回の原子力災害で、官邸の対応はその場限りで場当たり的だと述べて、辞任をいたしました。
 これは、政権担当能力に欠ける内閣にあっては、幾ら人を増員しても無意味である何よりの証拠ではありませんか。総理のお考えをお聞かせください。
 さらには、これまでも、政務三役を通さなければ何もできないと官僚が萎縮し、行政が停滞しているという指摘がたびたびなされてきました。こうした菅内閣において、閣僚や副大臣、大臣政務官をふやせば、どういうことになるのか。指揮命令系統が大混乱し、ますます震災対応がおくれることは、火を見るよりも明らかであります。
 今求められていることは、政治のリーダーシップであり、閣僚などの頭数をふやして満足してしまうことではありません。
 国民新党の亀井代表は、閣僚の増員について、ばか足すばか足すばかは、やっぱりばかなんだ、今は、とにかく一元的に対策を断行すべきであり、船頭が多くてはだめだと発言されました。この法案に対する最も適切な評価ではないかと思います。総理の感想をお聞かせください。
 さらには、危機に対応するための組織のあり方、閣僚増員により震災対応に混乱が生じるおそれについて、どのように認識をしているのか、菅総理の答弁を求めます。
 そして、もちろん、このように閣僚等を増員しては、相当の経費がかかります。秘書官などの人員も必要になってきます。被災地の復旧復興に一円でも多くの資金を、そして一人でも多くの人員を投入しなければならないときに、このような無駄な財政支出、人的配置について、国民の納得が得られるとは到底思えません。
 本法の施行に伴い、必要となる経費及び秘書官などの人員について、総理の明確な説明を求めます。
 民主党が政権を獲得した総選挙の際に掲げたマニフェスト、その最重要公約の一つとして位置づけられていた政治主導確立法及び国会法改正案が、先日、撤回されました。その理由は、このたびの内閣法等改正案と内容が一部重複するからということであります。
 しかし、幾ら震災対応とはいえ、政権獲得の際に掲げた最重要公約である看板政策をあっさりと撤回してしまうのは、民主党政権の正当性をみずから否定しているようなものであります。
 政治主導確立法が国会に提出されたのは、鳩山政権発足から四カ月後の昨年二月。内閣委員会に付託はされたものの、それ以降は、たなざらしとなっていました。法案を真剣に通したいという熱意も努力も感じられませんでしたが、政府・与党は、厳しい現実に直面し、法案を上げる気がうせてしまい、撤回する機会をねらっていたとしか言いようがありません。そうではありませんか。
 子ども手当法に引き続いての看板政策の撤回、これは、国民との約束であるマニフェストを変更した重大な背信行為ですが、政府・与党が国民に対して丁寧に説明したとは思えません。総理は、政治主導という大方針を放棄したのだと、潔く語るべきであります。看板政策がなくなり、政権担当能力もないとすれば、菅政権の存在意義は全く失われていると指摘せざるを得ません。
 また、政治主導確立法の撤回により、国家戦略室や行政刷新会議は、引き続き法的根拠も明確でないまま存続していくこととなります。
 国家戦略室は、設置当初のふれ込みとは異なり、今では、ほとんど報道もされないくらいの存在になってしまいました。また、行政刷新会議についても、政務三役が政治主導で決めた予算や事業を仕分けするのはおかしいなどと政権内部からも批判が出ており、存在意義がなくなったと言ってもいいのではないでしょうか。
 国家戦略室や国家戦略担当大臣と行政刷新担当大臣を廃止すれば、閣僚枠が二つできます。復興担当相などの枠は、十分にこれで確保できるのではないですか。菅総理の答弁を求めます。
 顧みれば、東日本大震災が発生する前、菅総理は、借金が税収を上回る赤字財政、尖閣沖の漁船衝突事件に象徴される屈辱的な外交対応、普天間基地問題や日米同盟を揺るがしかねない安保問題など、国家の基本政策で迷走を続けていました。そして、外国人からの献金問題で退陣寸前まで追い込まれていたのであります。
 そこに起こった大震災。我々は、一刻も早い復旧のため、やむを得ず内閣の継続を黙認してきました。しかし、もう我慢はできません。指導力なき菅総理のもとでは、与野党が有効な復興策を積み上げていくことはできないのであります。
 浜岡原発の停止についても、なぜ浜岡だけなのか、決定に至るまでどのような経緯があったのか、いまだ根拠のある説明はなされておりません。
 原発を抱える各自治体からも、今回の決定は極めて不可解であり、納得のいく説明をしてほしいという声が上がっています。国が原発についての基本政策を示さないまま部分的に対応している、到底、県民、国民の理解が得られるものではない。これは、私の地元である西川福井県知事のコメントですが、まさに、自治体の声、国民の声を代弁しています。
 地域のみならず、国家のエネルギー政策にも直結する重大な問題ですが、なぜ浜岡原発だけ停止したのか、国民に対する総理の説明を求めます。
 先ごろ、政府・与党は、会期を六月二十二日で閉じる、二次補正予算の編成を先送りする意向ではないかとの報道がありました。総理、国会を閉じるのですか。二次補正予算は先送りをするのですか。被災地の復興と再生よりも、内閣の延命を優先したいのですか。
 菅総理は、野党に籍を置いていたとき、麻生内閣における補正予算をめぐり、補正予算を提出しないことは政治空白だと口をきわめて指弾し、厳しく退陣を迫っていました。ところが、被災地が救いを求め、我が国が国家国民を挙げて復興に向け一丸となっている今、あなた自身が政治空白をつくろうとしているではありませんか。
 会期をどうするのか、二次補正予算をどうするのか、先ほどの我が党の小池議員の質問には明確に答えておりません。二次補正について、ここで明確に、いま一度お答えいただくことを要求いたします。
 そして、もしあなたが国民の不安を払拭できないのならば、即刻退陣していただきたい。菅総理、今あなたに求められている大震災及び原発への対応は、閣僚の増員などではなく、復興の障害となっているあなた自身の潔い辞任であります。
 本日の読売新聞には、民主党出身の参議院西岡議長が、「国務に関しての責務に自覚をお持ちでない」と指摘をして、総理の辞任を求める大変厳しい言葉を寄せておられました。全く同感であり、国民のすべても同感だと言わざるを得ません。
 さきの統一地方選挙における民主党の大敗は、国会に先んじて国民が突きつけた内閣不信任そのものであります。国民は、無責任な菅内閣に振り回されることなど望んではおりません。ならば、復興に深刻な遅滞を生じかねないゆゆしき事態から早々に脱却すべきではありませんか。
 菅総理の一刻も早い退陣を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

○内閣総理大臣(菅直人君) 高木毅議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案の提出時期についての質問をいただきました。
 東日本大震災の発生後、私の内閣では、私と十七名の大臣を初め、すべての副大臣、政務官等が、持てる力の限りを尽くして、全力でこの未曾有の国難に当たってきたところであります。
 しかしながら、今後の復興に向けた対応や原子力発電所の事故対応が長期戦になることを考えれば、現状の体制のままでは限界であり、国務大臣等の数を増員して内閣の体制を充実することが必要と判断したものであります。
 次に、内閣法改正による閣僚増員に関して、幾つかの観点から御質問をいただきました。
 そのまず一つは理由、そして閣僚間の所掌の整理、増員による混乱、経費、人員についてそれぞれ御質問がありましたが、これらについて、関連しますので、一括してお答えを申し上げます。
 まず、閣僚の人数は、阪神・淡路大震災の一九九五年当時は二十名、総理を除いて二十名でありましたが、その後、削減され、現在は十七名となっております。
 先ほど申し上げたとおり、東日本大震災の発生後、私の内閣ですべての政務三役が頑張ってきたところでありますけれども、今後、こうした未曾有の災害への対応にさらに万全を期すためには、兼務の解消を含めて、政府の体制を強化する必要があると判断をいたしました。
 また、閣僚間の所掌については、大震災への対応の観点から、増員した閣僚を機能的に配置し、有機的な連携の確保に努めることといたしております。これにより、震災対応に混乱を生ずることがないよう万全を期す所存であります。
 さらに、経費や人員の御指摘がありました。
 閣僚増員によって一定程度の経費などが必要となるとは考えられますが、内閣の体制強化によって東日本大震災への対応に万全が図られることにより国民の皆様の御理解が得られるもの、このように考えております。
 次に、震災復興を自民党に託してはとの御質問をいただきました。
 阪神・淡路大震災の対策の当時は、いわゆる自社さの三党連立政権時代であり、私自身も、さきがけの一員として、復興の過程において、与党の一員として参画をさせていただきました。また、現在は、菅連立内閣が国民に責任を負う立場にあり、大震災の復旧復興は内閣の使命と認識しており、その体制強化のために閣僚等の増員をお願いいたしております。
 自由民主党におかれましては、この国難において、ぜひとも、与野党の枠組みを超えて、国民のために政府に御協力いただけることを心から切にお願いをいたしておきます。
 次に、人を増員しても無意味であるという御指摘がありました。
 小佐古前参与については、原子力安全委員会に対し意見を述べてもらっていただいたところでありますけれども、専門家の間で意見が分かれ、辞任されたことについては、大変残念に思っております。
 政府としては、これまでも東日本大震災の対応に全力で当たってきたところでありますが、さらに万全な対応を行っていくため、国務大臣等の増員を御提案申し上げているところであります。
 政治主導の放棄を認めるべきとの御質問をいただきました。
 大震災からの復旧復興は、他の政策課題に比べても最優先課題であることは国民の大多数の意思であると認識をいたしております。政治主導とは、政策決定について政治家が最終的に責任を持つことと理解しており、菅内閣としても、大震災対策を当面の最優先課題と判断をし、各政党の御理解をいただけるよう、法案の取捨選択を判断してきたところであります。
 なお、大震災の復旧復興については、与野党を超えた協力が必要であり、さきの三党合意も、その趣旨に沿ったものであると理解をいたしております。
 内閣法等の改正案につきましては、ぜひ、御理解をいただき、御協力を賜りたいと考えております。
 次に、国家戦略室や行政刷新会議の意義と、閣僚枠の確保についての御質問をいただきました。
 国家戦略室は、内閣の重要政策の基本方針の企画立案、総合調整を担っており、今月十七日には、震災復興と並ぶ日本再生の方針を提示した政策推進指針を取りまとめたところであります。今後は、新たな成長に向けた国家戦略の再設計、再強化に取り組むこととなっております。
 また、行政刷新会議のもとで過去三回にわたって行われた事業仕分けでは、行政の透明性を飛躍的に高めるとともに、無駄の削減を実現するなど、大きな意義があったと考えております。この成果を改革につなげていくのは、これからが本番であり、今後とも行政刷新会議の存在は極めて重要であると考えております。
 このように、国家戦略担当大臣及び行政刷新担当大臣は、国家戦略室及び行政刷新会議を活用して、それぞれの担当分野に全力で取り組んでいただいているところであり、廃止すべきとの御指摘は当たらないと考えております。
 次に、浜岡原発の運転停止要請についての御質問をいただきました。
 浜岡原子力発電所の運転停止要請は、想定東海地震が発生する可能性が極めて高い地域に設置をされていることなど、同発電所の置かれた特別な状況を考慮して、国民の安全と安心を守るために決断し、要請をいたしたところであります。
 なお、浜岡以外の原子力発電所について運転停止を要請するつもりはありません。
 次に、国会会期と二次補正について御質問をいただきました。
 先日の五月二日、四兆円規模の補正予算が全党会派の賛成で成立をいたしました。まずは、この一次補正に盛り込まれた瓦れき処理、仮設住宅、ライフラインの復旧などの事業を迅速かつ着実に実施し、復興の基盤をつくることが必要と考えております。
 復興については、復興構想会議で創造的な復興についての御議論をいただいており、六月末に提言をいただくことになっております。また、自治体の具体的な復興計画も順次出されると聞いておりまして、それらも踏まえて検討する必要があると考えております。
 したがって、当面、一次補正予算の執行に全力で取り組んでまいりますが、その上で、二次補正予算については、講ずべき施策の必要性、緊急性など、その中身や時期を見きわめつつ検討してまいりたいと考えております。
 国会の会期は、最終的には国会で御判断をいただくことでありますが、政府としては、現時点において、提出いたしております法案の会期内での審議、可決をお願いする立場にあり、会期について、いまだ最終的な判断はいたしておりません。
 なお、内閣として、国民に責任を持つ以上、現時点において、退陣等の選択は全く考えておりません。(拍手)
    ―――――――――――――

○遠山清彦君 公明党の遠山清彦です。
 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案並びに内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案の両案に関し、質問をさせていただきます。(拍手)
 本年三月十一日に発災した未曾有の大災害である東日本大震災は、多くのとうとい人命を奪い、また、今日でも、何十万という被災された方々が非常に厳しい環境の中で生活再建の歩みを進められております。
 ここに、改めて、亡くなられた皆様の御冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、公明党を代表し、被災地域の復興再生と被災された皆様の生活再建のため、全力で御支援申し上げることを誓う次第でございます。
 国難ともいうべき東日本大震災からの復興に対する公明党の基本理念は、人間の復興であります。つまり、都市の再生、産業の再建、各種インフラの復旧等、物理的、物質的な復旧復興は当然として、一人一人の人間に焦点を当てた、人間の復興というものを中心に据えなければ画竜点睛を欠くという考え方であります。
 また、同時に、東日本社会の復興に当たっては、被災地域の住民の皆様の意向を最大限尊重し、地元の文化と伝統も尊重しながら、支え合う社会、共生社会としての二十一世紀の地域社会の模範となるべき先駆的取り組みを集積することが肝要であり、そのために、政府も国会も総力を挙げて復興支援に迅速かつ創造的に取り組む必要があります。
 以上のことを念頭に、まず、菅総理に伺います。
 公明党各議員の現地視察において最も強く受ける被災地域の地元住民の方々の要望は、第一次補正予算の後、切れ目なく復興支援を推進するために、早急に第二次補正予算案を成立させてもらいたい。もっと正確に申し上げれば、今国会の会期中に必ず第二次補正予算を成立させてもらいたい。このことでございます。
 しかるに、菅総理大臣も予算編成の責任者である野田財務大臣も、予算委員会における答弁等において、今国会会期内での第二次補正予算案提出に関しては、極めて消極的な発言に終始しております。全く被災地の住民の置かれた状況も心情もわかっていないと言わざるを得ないわけでございます。
 総理、あなたは、五月十六日の予算委員会での答弁において、地元の意見を踏まえながら第二次補正予算案を考えたいという趣旨の発言をされておりますが、まさに、その地元の意見の最優先事項が、第二次補正予算案の速やかな成立なのです。なぜ、それがわからないのですか。なぜ、そこまで鈍感なのですか。
 総理も財務大臣も、答弁で、拙速に至らないようになどと言いわけしておりますが、平時ならいざ知らず、今は未曾有の非常事態ではないですか。大震災によって数万人の犠牲を強いられた被災地の皆様の要望であれば、何でも迅速にこたえるというのが、今の政府の最大の責務ではないのですか。
 総理、先ほどの御答弁に私は納得いたしておりません。改めて御答弁を求めます。今国会の会期中に第二次補正予算案を国会に提出するつもりはありませんか。
 また、あわせて伺います。東日本大震災からの復興のために必要な施策を実施するためには、第二次補正予算のみならず、第三次、第四次の補正予算を必要に応じて編成し、切れ目のない復興支援を実施するための予算を今年度中に手当てをする意向はないのでしょうか。
 長い言いわけは、もう要りません。イエスかノーか、国民に対し、はっきりと方針を示していただきたい。
 次に、東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案について、総理に質問いたします。
 まず伺いたいことは、そもそも、この復興支援に関する国の基本理念と組織体制を規定する基本法ともいうべき法律案の国会提出が、なぜこのようにおくれたのでしょうか。
 平成七年一月十七日に発災した阪神・淡路大震災の際には、その五週間後の二月二十四日には、復興支援の理念と組織に関する法律案は成立し、即日施行されておりました。
 今回の法律案は、仮に順調に委員会、本会議採決されたとしても、衆参両院を経て成立するころには、発災後、優に十週間を超えてしまうのではないですか。全くスピード感のかけらもない。今の政権の姿をこれほど象徴していることは、ほかにありません。
 しかも、菅総理が、今や雲散霧消した復興実施本部と呼ばれる、権限のよくわからない、思いつきで出てきたような組織の実現にうつつを抜かしている間に、被災現場では省庁縦割りの復旧作業だけが進行し、今さら復興支援の新組織など立ち上げたところで、単なる現状の追認にしかならないというていたらくではないですか。この致命的なおくれのツケはすべて被災者に回ってしまう事実を総理は考えたことがあるのでしょうか。
 加えて、今ごろ出してくる法律案としては、中身が薄いと指摘せざるを得ません。
 公明党は、大震災直後から、復興にかかわる施策を一元的に実施する権限を持つ行政組織としての復興庁の設置を一貫して求めてまいりました。この点につきましては、自民党提出の東日本大震災復興再生基本法案にも同様の実施権限を持つ復興再生院の設置が盛り込まれており、問題意識を共有していると考えております。
 また、公明党は、迅速かつ創造的な被災地域の復興を実現するため、規制や税制、金融制度の特例措置の整備を認める復興特区制度の創設も求めてまいりました。
 ところが、政府提出の法律案には、復興庁の設置も、附則において、検討する旨の規定があるだけであり、復興特区制度の創設については何の規定も盛り込まれておりません。このような単なる現状追認型の中身の薄い法律案を今成立させることに、一体何の意味があるのでしょうか。
 改めて、公明党は、実施官庁としての権限を持つ復興庁の早期設置と、先駆的な復興への取り組みを後押しする復興特区制度の創設を求めますが、この点についての総理の明快な御答弁を求めます。
 次に、法律案に規定されている、復興支援の組織体制について伺います。
 法案の第五条で東日本大震災復興対策本部の設置が規定されておりますが、既に政府内には多数の本部と呼ばれる組織が乱立してきており、指揮系統の混乱を招いてまいりました。一時二十八に及んだこれらの組織も、世論の批判を浴びて、五月九日付で、緊急災害対策本部、原子力災害対策本部、復興対策本部と、三本部体制に再編されましたが、この三本部と本法案で設置される対策本部の関係は全く明らかではありません。まず、この点についての明快な御説明を総理に求めます。
 また、第十一条は、この本部の行う事務の一部を分掌させる目的で設置される現地対策本部に関する規定となっておりますが、この現地対策本部の権限はどこまで認められるのでしょうか。
 被災地域の地方公共団体から見れば、仮にこの現地対策本部に具体的な復興に関する施策の要望をしても、結局、霞が関の中央省庁の縦割り行政の壁に阻まれ、調整ばかりに時間をとられるなら、その存在意義はほとんどないと言っても過言ではありません。現地対策本部の中央省庁に対する権限についても、総理の明快な御答弁を求めます。
 本法案で初めて法的根拠を持つ、東日本大震災復興構想会議について伺います。
 この会議は、既に五百旗頭議長のもとに発足し、総理の諮問に応ずる形で、復興支援に関するビジョン提示に必要な調査審議並びに検討を行っているわけですが、この会議の提言の扱いについて、政府はどのような方針を持っているのでしょうか。六月にも提示されるとされる復興構想会議の第一次提言は、そのまま政府の復興計画になると理解しても間違いはないのでしょうか。それとも、その提言は、各省庁との調整にかけられ、いたずらに時間を浪費した後、修正された上での政府の復興計画となるのでしょうか。この点についての総理の見解を求めます。
 また、法案第十三条においては、政令により、原子力発電施設の事故による災害を受けた地域の復興に関する合議制の機関を設置することが規定されておりますが、この機関による調査審議は、復興構想会議による調査審議の結果を踏まえなければならないとされています。
 原発事故の影響を受ける地域の復興に関して調査審議する別の組織を設置しながら、なぜ復興構想会議の調査審議の結果を踏まえる義務を課すのか、全く理解ができません。別組織をわざわざ設置するならば、原発事故の影響を勘案した上で、自律的に適切な提言を随時出せる権限を与えてこそ、意味があるのではないでしょうか。この点についても、総理の見解をお示しいただきたいと思います。
 次に、復興に必要な財源確保の問題について伺います。
 公明党は、復興にかかわる歳出の財源確保のため、まず、復興関連施策以外の施策にかかわる歳出について徹底した見直しと削減を図るべきと考えます。加えて、財政法第四条一項の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内で復興債を発行し、その財源に充てることを提案いたします。その際、国債や一般会計と区分して経理を行い、その償還についての道筋を明らかにすべきという立場であります。
 しかしながら、政府提出の法案には、復興の財源に関する規定が全くありません。その一方で、その財源確保のための増税論などが一部与党議員から主張され、深い疑念を国民の間に生じさせております。
 政府として、東日本大震災からの復興に必要な財源の規模は一体どれぐらいの規模になると認識しておられるのか、また、必要な財源確保の手段として、本当に増税という手段を検討されているのか、総理の明快な答弁を求めます。
 最後に、同時に提出された内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案について伺います。
 民主党政権の目玉政策であった政治主導確立法案は、五月十二日の本会議において撤回の議決が行われました。このことにより、国家戦略室の局への格上げがなくなり、政務参事や政務調査官から成る不透明な組織体の根拠法はなくなりました。同時に、国家戦略担当大臣を置く意義は低下したと私も認識をしております。また、行政刷新会議の法律による明確な位置づけがなくなったことにより、行政刷新担当大臣の存在意義も薄れたことになります。
 この結果、もはや菅内閣においては、国家戦略担当大臣並びに行政刷新担当大臣は必要ないポストであると考えます。このポストを割り当てれば、三人も閣僚を増員する必要はないのではないですか。
 そもそも、閣僚の増員は、野党幹部の入閣を想定して、総理、あなたが考えたものではありませんか。それが実現できず、今度は、党内の菅おろしの動きを封じ込めるために利用するのでしょうか。あなたの場当たり的、また稚拙な対応に、国民は不安と怒りを覚えております。
 震災から十週間も経過した今、なぜ三人もの閣僚をふやさなければならないのか、その理由を明確に、そして具体的に示していただきたい。
 東日本大震災の発災から二カ月を超えました。今政治に最も求められることは、被災者一人一人の立場に立ち、すべきことはすべてやる、それも、非常事態にふさわしい迅速さを持って行うことでございます。それが今の政権で全くできていないことは、内閣支持率が大震災後も危険水域の三割を切っていることからも明らかであります。
 スピード感もない、危機感もない、現場感覚もない。福島第一原発のメルトダウンを二カ月以上たってから公表し、世界のひんしゅくを買う。そういう政権のもとで一番救済されなければならない被災地域の国民が苦しむ姿を、私たちは、もはや看過することはできません。
 菅総理、国民は、もはやあなたに本格的な復興支援の陣頭指揮をとることを望んでおりません。私たちが今どこまでも優先すべきは、被災者の生活再建の支援と被災地域の誇りある復興再生であります。虚心坦懐、みずからの胸に手を当てて、総理、潔く身を処すべきであると最後に御進言申し上げ、私の代表質問といたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

○内閣総理大臣(菅直人君) 遠山清彦議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、第二次補正予算及びその後の補正予算についての御質問、これに一括してお答えを申し上げます。
 五月の二日、四兆円規模の補正予算が成立をいたしました。まずは、第一次補正に盛り込まれた瓦れき処理、仮設住宅、ライフラインの復旧などの事業を迅速かつ着実に実施し、復興の基盤をつくることが必要だと考えております。
 復興については、復興構想会議で創造的な復興について御議論をいただいており、六月末に提言をいただくことになっております。また、自治体の具体的な復興計画なども順次出されると聞いておりまして、そうしたものも踏まえて検討する必要があります。
 したがって、当面、一次補正予算の執行に全力で取り組んでまいりますが、その上で、今後の補正予算については、講ずべき施策の必要性、緊急性など、その中身や時期を見きわめつつ検討を行ってまいりたい、このように考えております。
 次に、復興基本法の国会提出時期についての御質問をいただきました。
 今般の大震災は、大規模な地震と津波に加え、原発事故が重なる未曾有の複合災害であり、その被害が極めて広い範囲に及んでおります。このため、阪神・淡路大震災の経験を踏まえた緊急災害対策本部を設置し、さらに原子力災害対策本部を設置して、被災者の救助、支援、災害復旧と原発事故への対応に全力を挙げてきたところであります。
 その上で、震災からの復興を強力に推進するため、今回、復興対策本部などの設置を盛り込んだ復興基本法を提案したところであります。
 次に、復興庁の早期設置と復興特区の制度の創設について御質問をいただきました。
 復興の推進体制については、種々の傾聴に値する意見が存在すると承知しておりますが、例えば、御指摘の復興庁のような新たな官庁を設置するのであれば、その組織や機能等の詳細について、この法律の施行の状況を踏まえ、種々の検討を行う必要があると考えております。
 このため、本法案では、まず、復興基本方針を策定し、復興事業を実施、推進していく司令塔として復興対策本部を早急に整備することとし、そして、その上で、復興庁については、復興の推進状況などを勘案しつつ、一年以内をめどとして、各方面の意見を伺いながら必要な検討を行うことといたしております。
 また、御指摘の復興特区制度については、各方面で活発に議論されており、東日本大震災復興構想会議においても種々の意見が表明されているものであり、一つの案として、今後さらに検討を深めてまいりたいと考えております。
 次に、三本部と法律案により設置する対策本部との関係について御質問をいただきました。
 東日本大震災に対応するため、これまで、法律に基づいて緊急災害対策本部と原子力災害対策本部の二つの本部が設置され、そして、被災者の救助、支援、災害復旧と原発事故の対応に全力を挙げてきたところであります。
 御指摘の三本部とは、この緊急災害対策本部、原子力災害対策本部に加えて、今回の法律で設置を予定している復興対策本部を指すものであると考えますが、この復興対策本部は、震災からの復興を強力に推進する体制として、この二つの法律に基づく本部に加えて新たに今回の法律で設置しようとするものであり、おのずからその性格は異にいたしていると思っております。
 次に、復興を推進する体制のあり方についての御質問をいただきました。
 今般の法律における現地対策本部は、地元自治体の要望、意見等の一元的な窓口として、現地レベルで国の出先機関の施策の総合調整を行う機関であります。
 具体的には、副大臣、大臣政務官等を現地対策本部長とし、そのもとに国の出先機関の長などを本部員として配置することにより、現地において政治のリーダーシップが発揮できるような組織体制とするとともに、権限についても、内閣が各省庁に対して行使する総合調整権限と同様の権限を現地対策本部長が国の出先機関に対して行使できることとするものであります。
 こうして、縦割り行政の壁を越えて、被災地域の地方公共団体からの要望に的確にこたえていくことが可能になる、このように考えております。
 今後の復興計画のあり方についての御質問をいただきました。
 御指摘の復興計画については、全閣僚等が構成員となる復興対策本部が基本方針に関する企画立案、総合調整を行った上で、内閣として最終的には決定することとなります。
 復興構想会議には、この基本方針を策定するための復興構想、いわば青写真について御議論をいただいているところであり、六月末に予定されている復興構想会議からの提言をしっかり受けとめて、それを内閣として責任を持って復興の指針として策定してまいるということを考えているところであります。
 次に、復興基本法十三条の考え方についての御質問をいただきました。
 原発事故による被災地域の復興は、復興構想会議の重要なテーマの一つであり、これまでも、福島県知事及び福島県にゆかりのある方々を中心に活発な御発言をいただいているところであります。
 他方、原発事故の被災地域の復興については、その性格上、他の被災地域の復興と同一には論じられない面が含まれております。そこで、本法案は、復興構想会議とは別に、原発事故による被災地域の復興の検討に特化した会議を設置できることといたしております。
 そのような会議が設置された場合には、まず、復興構想会議でそれまで行われた審議結果を活用することが適切であることから、法案では、復興構想会議による審議の結果を踏まえるということにいたしておりますが、両者は性格を若干異にしており、御指摘のように、第十三条の会議は、随時、独自に提言を行うことが可能であると考えております。
 次に、復興財源としての増税についての御質問をいただきました。
 東日本大震災からの復興については、東日本大震災復興構想会議を設置し、六月末をめどに、単なる復旧ではなく、創造的復興についての青写真を提言していただくことといたしております。
 復興については、まず財源論ありきではなく、復興構想会議で未来に向けた創造的復興の事業内容や方向性などを御議論いただいた上で、歳入歳出にわたり幅広く検討してまいりたい、このように考えております。
 次に、増員する閣僚についての御質問をいただきました。
 私の内閣では、発足以来、二十年間続く経済の低迷、財政の悪化、不安な安全保障等といった日本の危機的な状況のもと、私と十七名の大臣がフルに回転しながら国政の運営に当たってきたところであります。
 今般の法案では、こうした危機の中に新たな危機が、戦後最大の国難というべき東日本大震災が発生したことから、この未曾有の大震災の被災者支援や今後の復興、また、原子力発電所の事故や電力不足の問題への対応などに万全を期す観点から、国務大臣を三名増加するという法案を提出させていただきました。
 なお、閣議決定等により既に国家戦略室及び行政刷新会議を設置いたしているところでありますけれども、これらの国家戦略室や行政刷新会議は、これまでも極めて重要な政策の推進を担っていただいたところであり、今後もしっかりとお願いをいたしたいと考えているところであります。政治主導確立法案撤回後も、そうした意味で、両方の室と会議については、その重要性はいささかも減じることはない、このように認識をいたしております。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――

○吉泉秀男君 社会民主党の吉泉秀男です。
 社会民主党・市民連合を代表し、提案されている東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案、内閣法一部改正案について質問いたします。(拍手)
 総理、大震災発生から既に二カ月以上がたちました。対応が余りにも遅過ぎます。国会の会期も残り少なくなっている中で、二次補正の編成は先送り、さらには損害賠償は秋以降という政府の方針が伝えられ、そして今、国会の中においても答弁がされておりますけれども、そんなことで被災者や国民の納得が得られるはずがございません。会期を延長し、一日も早く被災者の不安をなくするために全力を尽くすべきであります。まず、このことを冒頭申し上げたい、こういうふうに思います。
 総理、総理は、全力で頑張ってきた、こう言います。しかし、今、被災地では、海を返せ、ふるさとを返せ、私につながるすべてを返せ、こういう悲痛な叫びが日を追うごとに大きくなってきております。すべてをなくした被災者の叫びに総理はどうこたえていくつもりなのか、このことをお伺いさせていただきます。
 総理、震災の対策にはスピードと決断力が求められます。今回の提案されている法案は、なぜもっと早く出せなかったのですか。組織の立ち上げと閣僚をふやす、これだけの法案、こういうふうにしか見えません。
 阪神・淡路大震災の際、村山総理は、結果責任はすべて自分が負う、こう述べながら、震災の三日後には震災担当大臣を置き、対策を即決できる体制をつくりました。私たち社民党は、今回の閣僚増員についても、震災や原発事故にスピーディーに対応するために専任の特命大臣を置くべきだと前々から提案してきました。しかし、今、震災から二カ月が経過をしております。今さら何だ、こういう思いがしてなりません。なぜこんなに遅くなったのか、もう一度総理にお伺いをいたします。
 さらに、復興基本法からは、被災者に勇気と希望を与える、こういう理念や方針、そしてまた、これを実現するという総理の確固たる決意、こういう部分が伝わってこないのは私だけではないだろうというふうに思います。
 私は、大震災が起きても、被害を最小限にとどめるために、首都機能の分散、太平洋側に集中している人口や経済の日本海側への移転、さらにはエネルギー政策の転換など、大きな構想が示されるものだと期待をしておりました。しかし、全く期待外れでございます。総理は、復興に当たって、どのようなビジョンや構想をお持ちなのでしょうか。お伺いをいたします。
 私は、復興に向けて、まず一つは、エネルギー政策と被災者の生活再建、これが最優先されなければならない課題だと思っております。
 社民党は、持続可能で平和な社会、このことを目指し、一貫して、脱原発とエネルギー政策の転換を求めてまいりました。
 原発事故の被害は、余りにも甚大であり、悲惨であります。もう既に九つの自治体がこの事故で自治体機能を失い、そして、約十万人を超える国民が、自分の生まれた、住んでいるふるさとから避難を強いられて、いつ帰れるのか見通しも立たない、こんな中で不安な生活を余儀なくされております。
 大量に放出された放射性物質による子供への影響、海産物や農産物の被害、出荷規制、家畜の屠殺、原発で働く人々の被曝等々、さらには死亡者も出してしまった。これからも、収束の見通しがない中で、被害が拡大していくのは必至であります。
 エネルギーは、私たちの暮らしになくてはならないものでございます。そして、すべての産業の源でもございます。このエネルギーをこれからも原子力に依存していくのか、このことが問われているんだろうというふうに思っております。
 今回の原発事故を契機に、原発依存から脱却をし、自然エネルギー中心のエネルギー政策に今こそ転換すべきだと私は思っております。総理も、エネルギー基本計画を白紙に戻し、エネルギー政策全体を見直したい、こう表明をされております。
 脱原発と自然エネルギーの普及、このことこそ、これからの東北、さらには東日本、日本全体の復興の基礎である、このことを私は明言し、さらには信じております。総理の見解をお伺いいたします。
 海江田大臣は、国の原子力政策によって多くの被害者を出した、国が最後まで前面に立ち、責任を持つ覚悟である、こう述べられております。しかし、被災者は、もう既に、政府や東京電力の言うことが信じられない、こういう気持ちになっております。そしてまた、原子力という言葉すら聞きたくない、こういう心境にもなっております。大臣として、原子力に依存してきたエネルギー政策をどう総括されますか。大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、被災者の生活再建についてお伺いをいたします。
 被災地は、今、働きたくても働けない、こういう状況で、雇用問題は深刻でございます。
 我が国は、戦後、四百万から六百万人と言われた失業者に対して緊急失業対策事業を開始いたしました。私は、この歴史に学ぶべきだと思っております。この苦難の時期に匹敵するような失業対策事業を国主導でつくるべきだと思っております。厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。
 そして、一番私たちを苦しめているのは、二重債務問題でございます。
 時間がございますから、この点についてどう対処されていこうとするのか、官房長官の考え方をお伺いいたします。
 最後に、これからの復興の進め方についてお伺いをいたします。
 地域の復興は地域の創意工夫を生かすべきであり、被災地の住民が主体となった復興が進められるべきでございます。しかし、これを進めるに当たって、自治体にとっては財政問題が立ちはだかっております。国から足かせ手かせをはめられた補助金では、地域に根差す復興は不可能だと思っております。被災した県、市町村に国の主導で復興基金、こういう基金を創設しながら、被災地の裁量で復興を進められるようにすべきだと考えます。
 既に被災地では、復興基本計画策定など、動きは素早くなってきております。数十兆円の復興基金を創設しながら地域主導で復興を進める、こういう考え方について、総理の考え方をお伺いいたします。
 東日本は必ず大震災から立ち直ります。復興をなし遂げる、このことを誓い合い、代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

○内閣総理大臣(菅直人君) 吉泉秀男議員にお答えを申し上げます。
 まず、被災者の声にこたえることについての御質問です。
 海を返せ、ふるさとを返せという本当にそういう声、私も、多くの避難所で、もとの生活にいつ戻れるのかという御指摘を多くいただきました。
 震災発生から二カ月以上たっても大変困難な状況にある方が多いのも目にいたしまして、何としても、これらの皆さんにできる限り早くもとの生活に戻ってもらえるよう、やれることは何でもやるという覚悟のもとで、政府一丸となって取り組んでおります。皆様方の御支援もいただきながら、ぜひともそうした方向を実行してまいりたい、こう思っております。
 次に、内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案の提出時期についての御質問をいただきました。
 東日本大震災の発生後、私の内閣では、私とすべての政務三役、力の限りを尽くしてまいったところであります。そして、今後の復興に向けた対応や原子力発電事故の対応が長期戦になることが考えられることから、この未曾有の災害である東日本大震災に対して、政府の体制を強化するため、国務大臣等の数を増員することが必要だと考えたところであります。
 次に、東日本大震災の復興の構想についての御質問をいただきました。
 今般の東日本大震災からの復興に当たっては、単なる復旧ではなく、未来に向けた創造的な復興を目指していくことが重要だと考えております。
 具体的には、自然災害に強く、安心、安全な地域づくり、そして、環境と調和したエネルギー政策の実現、人口減少、高齢化等の課題に果敢に取り組む先進的な地域の創造、さらには、地域における新しい雇用の創出や経済の再生、これらを基本とする必要があり、今回の法案では、この趣旨を基本理念として盛り込んだところであります。
 さらに、これらを具体化するため、東日本大震災復興構想会議で御議論をいただき、六月末をめどに震災からの復興についての未来に向けた青写真を御提言いただくこととしており、これをしっかり受けとめ、具体的な復興のための方針を策定してまいりたい、このように考えております。
 次に、エネルギー政策の見直しについての御質問がありました。
 これまで、原子力と化石燃料がエネルギーの二つの柱とされてまいりましたが、これに加えて、太陽、風力、バイオマスといった自然エネルギーを基幹エネルギーの一つとする、さらには省エネルギーの社会をつくっていく、この二つの柱を加えるべきだと考えております。
 原子力については安全性の徹底的な確保に努め、化石燃料についてはCO2の削減ができる効率的な利用を進めていく、そして、自然エネルギー及び省エネルギーにこれまで以上に大きな力を注いでいくべきだと考えております。これは、被災地域の復興という観点でも極めて重要な課題になる、こう考えております。
 次に、地域主導で復興を進めることについての御質問をいただきました。
 今回提出した法案では、復興の基本理念として「被災地域の住民の意向が尊重されるべきこと」を掲げております。また、先般、復興構想会議で決定された復興構想七原則でも、地域・コミュニティー主体の復興を基本とし、国は、復興全体の方針と制度設計によってそれを支えることとされているところであります。
 復興構想会議においては、六月末をめどに提言を取りまとめるべく検討をしていただいており、これをしっかり受けとめ、被災地域への国の支援の方法を含めて、復興のための指針を策定してまいりたい。復興基金という御指摘もありましたが、こうした地域への国の支援の方法も含めて策定をしてまいりたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣海江田万里君登壇〕

○柿澤未途君 みんなの党の柿澤未途です。
 政府提出の東日本大震災復興基本法案について質問いたします。(拍手)
 震災から二カ月半がたちましたが、被災地の苦悩は今も続いています。
 この間、党災害対策本部事務局長として、連日開かれてきた各党・政府震災対策合同会議実務者会合に出席をし、また、何度も被災地に足を運んでまいりました。
 五月の連休を返上し、福島県、宮城県の十市町村を回りました。同じ時期に被災地入りした復興構想会議の皆さんの後を追う形となりましたが、お会いした市町村長が口をそろえて、たった十五分来ただけだったと言っていたのが非常に印象的でした。
 これで本当に被災地の実情に合った復興指針をつくれるのでしょうか。
 被災の姿はさまざまです。津波に加えて、今もやまぬ原発事故があり、複雑な様相を抱えています。総論ではなく各論で対応をしなければなりません。六月の復興構想会議の提言はどれだけそうした被災地の個々の実情を踏まえたものになるのか、総理の見解を伺います。
 そして、六月に復興構想会議の提言が出て、そのまま会期末の六月二十二日には国会を閉じてしまうんですか。復興のつち音を待ち望む被災地の方々の気持ちを全く考えていないのではありませんか。しょぼい一・五次補正を申しわけ程度に出したって同じことです。非常時対応として、会期を延長し、通年国会とすべきです。総理の所見を伺います。
 みんなの党は、東日本復興院構想を掲げております。復興院の本拠は仙台市に置き、道州制への移行を視野に入れながら、国や県の権限と財源を復興院に集約すること、そして、現地での即断即決の体制をつくることを目指しております。
 今回、復興対策本部と現地対策本部が設置をされ、現地に副大臣クラスを送り込む考えのようですが、どんな権限と財源を与えられるのか。手元に権限と財源がなければ現地で決裁できることはほとんどなく、これでは、各省庁の出先機関の調整会議の座長をやるのが関の山でしょう。答弁を求めます。
 被災地に限った特例的な税制優遇や規制緩和を行う、いわゆる復興特区の構想も出されています。これを現地対策本部の設置と同時に行わなければ、結局、当面は一々東京にお伺いを立てなければならず、現地対策本部を置く意味がありません。復興特区の法案をセットで出すべきであります。復興特区の法案はいつになるんですか。答弁を求めます。
 財源面では、アメリカのニューディール政策のときのTVA、テネシー川流域公社をモデルとして、復興院は、政府保証債の発行権限を有する組織として、復興事業の財源を自前で調達することを可能としております。このように、復興のための組織が独自のファイナンスをできるようにすることが、現地のニーズに即した復興事業の展開を可能にすると思いますが、財務大臣の見解を伺います。
 そもそも、復興には何兆円のお金が必要になると政府は考えているんでしょうか。ここでお金をけちったら、東日本の復興はできなくなります。そして、復興を通じた日本経済の復活も夢と消えてしまいます。財政法五条ただし書きを活用した長期国債の日銀引き受けを行い、数十兆円規模の復興予算を組み、あわせて、潤沢な通貨供給によるデフレ脱却を目指すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 これまでの災害からの復旧復興では、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法において災害復旧事業を原状に復旧するものと定義をしていることが復興事業を行う上での足かせとなってきました。つまりは、どんな大胆な復興プランを描いても、被災した施設をもとのスケールで復旧するのでなければ、予算査定を通らず、国庫負担がおりないのであります。
 この定義を見直すなり、今回の復興に限っては例外とする特別立法をつくらない限り、原状復旧原則に基づく予算査定のくびきから逃れられません。政府の見解を伺います。
 今回の法案では、復興庁の設置を一年以内に検討するとしています。なぜ一年かけるのか。要するに、復興庁あるいは復興院の設置を求める野党と、権限を奪われたくない霞が関との間で、調整がつかないまま結論を先送りしたものにすぎないではありませんか。こんな中途半端な先送りをすることで、復興にかかわる権限も責任も不明確になり、その分復興がおくれてしまいかねません。その結果、苦しむのは被災地の人々です。総理に決断を求めます。
 こうした質問の数々に対し、総理は、これから決めますという内容の答弁を恐らく連発されるのでありましょう。そのスピード感のなさ、行き当たりばったりさこそが菅政権の本質だと国内外から見られているという冷厳な事実を申し上げて、質問を終わりとさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

○内閣総理大臣(菅直人君) 柿澤未途議員にお答えいたします。
 復興構想会議の提言についての御質問をいただきました。
 復興構想会議においては、我が国の英知を結集し、復興構想について幅広く御議論をいただいているところでありますが、特に、被災地の実情に合った検討ができるよう、被害を受けた岩手、宮城及び福島の各県知事や東北にゆかりのある方にも数多く委員になっていただいております。また、検討に当たっては、委員の方々には、岩手、宮城及び福島の三県内の十数市町村に実際に赴いていただき、それぞれ一日かけて自治体や地元の方々との意見交換を行うといった取り組みを行ってきております。
 今後も、六月末の復興に向けた指針の策定に向けて、地元の声や関係市町村の声をしっかりと受けとめ、向かい合いつつ、復興に向けた指針の策定のための議論を進めていただきたいと考えております。
 国会の会期に関する質問をいただきました。
 先日、五月二日に、四兆円規模の補正予算を全員の賛成で成立させていただきました。まずは、この一次補正に盛り込まれた瓦れき処理、仮設住宅、そしてライフラインの復旧などの事業を迅速かつ着実に実施し、復興の基盤をつくっていくことが必要だと考えております。
 復興については、復興構想会議で創造的な復興に向けての御議論をいただいており、六月末に提言をいただくことになっております。また、自治体の具体的な復興計画も順次出てくることになっておりますので、それも踏まえて検討する必要があると思っております。
 したがって、当面、一次補正予算の執行に全力で取り組むことといたしておりまして、その上で、二次補正予算については、講ずるべき施策の必要性、緊急性など、その中身や時期を見きわめつつ検討してまいりたいと考えております。
 国会の会期は、最終的には国会で御判断いただくことになりますが、政府としては、現時点では、提出しております法案の会期内での審議、可決をお願いする立場であり、会期について、いまだ判断を最終的にはいたしておりません。
 次に、復興を推進する体制のあり方について御質問をいただきました。
 今般の法案における現地対策本部は、地元自治体と連携するための一元的な窓口として、現地レベルで国の出先機関の施策の総合調整等を行う機関であると位置づけております。
 この現地対策本部については、副大臣、大臣政務官を現地対策本部長とし、そのもとに国の出先機関の長などを本部員として配置することにより、現地において政治のリーダーシップが発揮できるような組織体制とするとともに、権限についても、内閣が各省庁に対して行使する総合調整権限と同様の権限を現地対策本部長が国の出先機関に対して行使できるようにいたすことといたしております。現地において復興施策の総合調整等を強力かつ的確に行っていくことが可能になる仕組みだと考えております。
 次に、復興特区の構想についての御質問をいただきました。
 御指摘の復興特区制度については、各方面で活発に議論されており、東日本大震災復興構想会議においても種々の意見が表明されているところであります。御指摘の点も一つの有力な参考案として今後検討を深めてまいりたい、このように考えます。
 復興事業の規模や財源についての質問をいただきました。
 復興事業の規模や財源については、まず、復興構想会議で未来に向けた創造的復興の事業内容や方向性などを御議論いただいた上で、歳入歳出にわたり幅広く検討していきたいと思います。
 また、日銀の直接引き受けについては、財政法で原則として禁止されております。これは、中央銀行による直接引き受けを行えば、財政規律が失われ、為替の減価や金利の上昇、インフレを招くおそれがあるからであります。
 なお、日銀には、デフレ脱却に向け、引き続き、政府との緊密な情報交換、連携のもと、適切かつ機動的な金融政策運営を行っていただくよう期待をいたしております。
 次に、復興庁についての御質問をいただきました。
 この法案においては、被災地域の復興に向けた政府の推進体制を一日も早く立ち上げる必要があることから、また、復興のための基本的な方針の策定にふさわしい、責任ある体制を整備するとの観点から、全閣僚から成る復興対策本部を設置することといたしております。
 その上で、復興庁については、復興の推進状況などを勘案しつつ、一年以内をめどとして、各方面の意見を伺いながら、必要な検討を行うことといたしております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣野田佳彦君登壇〕

○国務大臣(野田佳彦君) 柿澤議員からは、復興財源の調達のあり方について御質問がございました。
 復興財源のあり方については、復興の青写真や今後の対策の規模、さらには市場の信認確保の観点などを踏まえて、今後、歳入歳出にわたり、あらゆる方策を検討してまいります。
 こうした検討の過程で、さまざまなアイデアをいただきながら、よいと思ったものは積極的に取り上げていきたいと考えており、柿澤議員の御提案についても、そのメリット、デメリットを含めて、よく勉強させていただきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣大畠章宏君登壇〕

○国務大臣(大畠章宏君) 柿澤未途議員の御質問にお答えを申し上げます。
 柿澤議員からは、公共土木施設の災害復旧事業についてお尋ねをいただきました。
 御指摘のように、河川、道路、海岸等の公共土木施設の災害復旧事業においては、基本は原形復旧であります。しかしながら、確かに原形復旧を基本としておりますが、この原形復旧は、単にもとどおりのものをつくることだけではなく、従前の効用を復旧するものを含みます。したがって、もとどおりの復旧が不適当な場合等には、必要な機能を確保する施設に復旧することとなっており、これについては国庫負担の対象となります。
 したがいまして、復興に当たっては、被災地域の皆様の御意見を十分にお伺いしながら、より安心していただけるよう、国庫負担法による災害復旧事業を適切に活用してまいります。(拍手)