[宇宙的立場から積極外交を(提言)]
今回は、ちょっと政治的な提言など、気合を入れてやってみたいと思います。
えー、各国政府は宇宙人と密約を交わしてる、なんてことをよく耳にしますね。考えてみれば、これは実にケシカラン話だと思うのですよ。いや、密約がイカンとか、そういう野暮なことは申しません。密約するなら密約するで、きちんと交渉してこちらの要求を通すべし、ということが言いたいわけです。
とにかく、宇宙人の傍若無人ぶりには我慢なりません。何ですかあの横柄な態度。地球で活動するなら、地球のルールを守れ。かように当然のことを、堂々と宇宙人に対して要求して頂きたい。
えー、具体的に規制すべきだと思うことをつらつらと書き並べてみるにですね、
・「金星のほうから来ました」「プレアデスのほうから来ました」など、
誤解を与える説明をしてはいけない。
・「あ、ばあちゃん? オレオレ。あのさ、このままだと人類マジにヤバイんだ。
でさ、霊的に覚醒するためにエルサレムの近くに大使館を建てないといけない
んだって。悪いけど急いで資金を振り込んでよ」
などと、親族を装って振込を要求してはいけない。
・キャトルミューチレーションは、BSE感染のリスクが少ない生後20カ月
以下の牛に限って許可する。また、特定危険部位を“鋭利な刃物で切り取った
かのように”正確に切除することを義務づける。
・あと、ウンモ星人は、手紙の題名に「未承諾広告※」を付けること。
まあ他にも色々と言いたいことはありますが、最低限、このくらいのマナーは守るよう宇宙人に言ってやってほしいと、私はそのように思うのであります。
それが、何ですか、政府の弱腰ときたら。特に日本。
例えば甲府事件では、UFO着陸現場の畑から残留放射能が検出されたそうじゃありませんか。ヤバイですよ、畑が放射能汚染。直接的な被害はもとより、風評による二次被害も考慮すると、そのダメージは計り知れないものがあります。ところが、損害賠償を要求する相手は行方不明だし、政府は知らぬ存ぜぬ。農家は泣き寝入りです。果たして、これでも主権国家、法治国家だと言えるのでしょうか。
言うべきでないことは言わない、という毅然とした態度。断固として問題を先送りする、という原理原則に則った対応。外交辞令も惜しまない不退転の決意。かように、国家というものは、憐とした姿勢で外交に臨んでこそ、美しい玉虫色の光を放つのです。それが日本。それこそが、私たちの粗国なのです。違いますか?
[S=Pチャート]
というわけでハイネック博士です。この名前を出せば、一応「私はUFOについて真面目に語ろうとしてるんですよ」というサインになるそうなので、大変便利です。で、ですね、博士の著書"The
UFO Experiencce"(邦題『第三種接近遭遇』)には、“S=Pチャート”というものが出てきます。今回はこの話。
S=Pチャートというのは、個々のUFO遭遇事件について、そのプロバビリティ(可能度)とストレンジネス(奇妙度)を数値化し、S軸とP軸からなるチャート上にマップするという、まあそういうものです。こうして信頼できるUFO目撃ケースをS=Pチャート上に並べてゆくと、そこに特徴的なパターンが浮かび上がってきて・・・。おおお、ハイネック博士、さすがの盛り上げでございますな。沼地ガスの一件はなかったことにいたしましょう。
P値(可能度)のスケールは、まあ想像がつくことと思います。問題はS値(奇妙度)スケール。下限はもちろん「いかにもありそう」です。問題は上限です。いったい、どこら辺までが「とてもありそうにない」というカテゴリに入るのでしょうか?
ハイネック博士は、S値の上限領域を「ハイ・ストレンジネス=HS」と呼んでいます。ハイネック博士の口ぶりからすると、本来の意味でのHSは、第三種接近遭遇事件(UFO搭乗者の目撃)を差しているようです。そんなの今じゃ少しもストレンジじゃねぇよ(笑)。
マイク・ダッシュの『ボーダーランド』には、そのものずばハイ・ストレンジネスという項目がありましたが、そこに挙げられていたような事例は、ハイネック博士が使用した本来の意味でのHSよりも明らかに奇妙度が上です。これはもう別の用語、例えば「ベリー・HS」、VHSとでも呼称すべきかと思われます。VHSの例としては、庭に掃除機をかける宇宙人とか、クリスマスツリーの周囲を飛び回る宇宙人とか、そういうのが該当するでしょう。ここら辺、私の好み直撃です。
となると、さらに上のランクである「首のすげ替え宇宙人」(宇宙人に依頼されて、そいつの首の横の穴に針金を通して、首の付け根をぐっと押したら、宇宙人の首がぽこっと外れてしまいました〜〜〜、という日本が誇る宇宙人遭遇事件)クラスを表す用語が必要になります。「スーパー・VHS」、S−VHSと呼称してはどうかと思います。「ちゃらら〜ん、鼻からUFO〜〜」な話がいっぱいありますが(目や鼻や口からUFOが飛び出してきた、という証言は多いんですよ)、全てS−VHSでしょう。ここら辺、さすがの私もついてけません。それもう宇宙人やUFOじゃなくて、妖怪だと思う。
VHS、S−VHS。う〜ん、我ながらよい用語だなあ。これらの領域を含むように拡張すれば、S=Pチャートは今日でも何ら問題なく通用するに違いありません。
ところで、このS=Pチャート、UFO遭遇事件だけではなくUFOファンの分類にも使えるのではないか、ということを私は発見いたしました。すなわち、UFOファン各人についてですね、UFO遭遇事件のプロバビリティ(本当か嘘か)に対する興味、ストレンジネス(どれだけ変か)に対する興味、をばそれぞれ数値化してですね、S=Pチャート上にマップしてみるのです。これを便宜的に“S=Pプロファイル”と呼ぶことにしましょう。
UFO話なんぞ興味のない普通の人は、S値もP値も低いsp領域に位置します。逆に、UFO現象を真剣に調査している研究者なら、S値にもP値にも強い興味があるはずです。つまりSP領域ですね。
UFO事件なら何でも信じてしまう信奉者、逆に絶対にUFO事件など認めない頑固な否定論者は、ともにP値に対する興味が高く、S値に対する興味が低い、sP領域に位置します。私のように、ひたすら変な出来事に興味があり、それが本当か否かなどまあど〜でもよい、というタイプの人間は、S値に対する興味が偏執的に高く、P値に対する興味は投げやり〜な感じに低い、Sp領域にいます。「小学生が捕虫網で小型UFOを捕獲」とか「宇宙人が首のすげ替えを依頼」とかいった事件が大好きです。
さて、このようにして作成したS=Pプロファイルのどこが面白いかというと、チャート上での距離が、すなわち「話の合う合わないの目安」になる、という点です。この距離を“S=P距離”と呼びましょう。私はどうもUFOビリーバーさんと話が合わないのですが(ふざけている、とか、不謹慎だ、とか怒られるのです。なぜですか?)、S=Pプロファイルを見れば一目瞭然。sP領域とSp領域の間の平均S=P距離は、それぞれの領域と「普通の人(つまりsp領域)」との間のS=P距離よりもなお大きい(遠い)のです。これでは話が合わないのも当然です。逆に、TV番組に出演して論争やっている信奉者と否定論者の会話があれほど盛り上がるのも、無理もないということが分かります。両方とも同じPs領域の住民だからです。肯定/否定、その立場はともかく、ひたすらP値にこだわるという点で、両者はS=P距離が近い、同じ穴のナントカだということです。
S=Pプロファイルを見れば、例えば私がUFOについて熱く語ったとして、真面目なUFO研究者からうさん臭いと思われる度合いと、普通の人からうさん臭いと思われる度合いは、おおよそ等しいはずだ、という予想も成り立ちます。しくしく。
「同じUFOファンだから」といった安易な連帯感でつきあってトラブルになった経験のある方は多いでしょう。そういう人は、これからは、S=P距離が大きい人とは、文字通り距離を置いて接した方がよいかも知れません。ちなみに宇宙人に遭遇したときにも、まず相手のS=Pプロファイルを調べて、つきあい方の距離を決めるべきだと思います。
[秘密基地]
というわけでジャック・ヴァレです。この名前を出せば、UFOについて大真面目な顔で目茶苦茶うさんくせ〜ことを語ろうとしているんですよ、というサインになるそうなので、大変便利です。で、ですね、ヴェレの著書に、確か"Revelations"(邦題『人はなぜエイリアン神話を信じるのか』)だったと思うんですが(ちょっと記憶に自信ありません)、こんなエピソードが出てきたと思います。UFO信奉者集会の場で、ニューメキシコにあるという異星人の秘密基地のことが話題になったとき、彼は「ゴミはどうやって回収してるんだろう」とツッコミを入れたと。今回はこの話。
正直いって「ヴァレ、あんた大人げなさすぎ」「場の空気を読めよ」とは思いますが、まあそれはさておき、異星人の秘密基地をゴミや下水道といった観点から考える、というのは面白い着想です。いかにも“一般人とビリーバーの両方から煙たがられそう”という話題なのがよろしい。私の好みです。というか私の生き方です。しくしく。
そこで考えてみました。政府との密約に基づいて異星人が地球に基地を築いているとして、その維持費はどのくらいか? 地球側スタッフは何名くらい常駐しているのか? 光熱費や水道代やゴミ回収費は?
異星人がどんな連中で何をやっているのかは知りませんが、基地の建造/維持/運営は結局のところ現地(つまり地球)の資源と人材に頼っているでしょうから、実は「米軍が海外の同盟国内に軍事基地を築くケース」と大差ないのではないか、と。
だとすれば、米軍が日本政府との密約、じゃなくて条約に基づいて日本に築いている基地のスペックを参考にすれば、大筋で外れてないはず。ここでいう「基地のスペック」というのは、面積、人員、維持費などのことです。
さっそくやってみることにしました。
日本には多数の米軍基地がありますが、空飛ぶ円盤でやってきた異星人基地のモデルにするなら、やはり空軍基地でしょう。そこで目を付けたのが横田基地(東京都)です。沖縄を除く本土最大の空軍基地で、現地(日本)最大の人口密集地(首都圏)にほど近く、しかし上空を飛行制限しても現地(日本)人が困らない程度に郊外、というか田舎、という位置にあります。米軍から見た日本/東京都/横田基地という立地条件は、異星人から見た地球/米国/ニューメキシコに相当すると言えます。横田基地のスペックがそのまま異星人の秘密基地にも適用できそうです。
では、横田基地のスペックが大筋で異星人の秘密基地にも当てはまるんじゃないか、と仮定して続けましょう。
東京都に申請して『福生市と横田基地』なる資料を入手しました。ただし、平成13年3月版です。もっと新しい版をくれと要求すると、これが最新版だと言われました。何でや、と思いましたが、そういえば911航空機テロが起きたのは平成13年の9月です。それ以降、情報公開が制限されているのかも知れません。だとしたら由々しき事態ですが、まあここでゴネて、いきなり米軍のMPにでも取り囲まれて「調査の目的は?」とか尋問されたりしても困るので、今回はこれで我慢することにします。
資料によると、横田基地の人員は、平成12年時点で、米軍人とその家族が約9,000名、日本人常駐スタッフが約2,000名となっており、合計11,000名が所属しているそうです。ニューメキシコの基地には、異星人と地球人が合わせて2万人いると言われてますから、どんぴしゃりの規模です。1万人と2万人じゃ大違いだろう、という人がいるかも知れませんが、今回のようにいい加減な仮定に基づいた大雑把な推測においては、ケタが合っていれば“ほぼ同じ”という感覚で良いのです。
では、他のスペックはどうでしょうか。面積は約7,000平方Km、東西約3Km×南北約4.5Kmの長方形。空輸航空団が駐留する輸送基地です。常駐している軍機は、葉巻型(笑)の輸送機ばかりです。資料には事故のリストも載っていますが、平均して年に2回ほど墜落事故が起きて、警察や消防隊が現地封鎖に駆り出されています。いかにもですね。って言うか、ひょっとして横田基地は密かに異星人に乗っ取られてるってことはないでしょうね、確認した方がよいですよ、都知事どの?
基地の維持費ですが、米軍側は分かりませんが、現地(日本)側は毎年5,000億円以上の経費をかけています。内訳は、基地周辺対策費、施設整備費、各種補償費、従業員手当て、移設・拡張費、光熱費・水道代・ゴミ回収費など。基地周辺対策費というのは要するに騒音対策の費用ですが、これを「機密保持対策費」と読み替えれば、そのままニューメキシコかどこかにある異星人の秘密基地の維持コストとみなせそうです。というわけで、異星人の秘密基地の維持費は年間約50億ドルと推測されます。そうそう、ヴァレが突っ込んだ件ですが、日本の基地対策特別委員会の会合記録を見ると、“思いやり予算によるゴミ回収の是非”から、“ダイオキシン検査”に至るまで、横田基地のゴミ問題は何度も審議されています。米国政府内にある異星人秘密基地特別対策委員会でも、同じ話題が延々と議論されてるに違いありません。ちゃんとゴミ回収の件について検討している担当者がいるんですよ、ご安心下さい、ヴァレ先生。
まとめると、ニューメキシコかどこかに異星人の秘密基地があるとすれば、米国政府は年間50億ドルくらいの予算を議会に見つからないように使っており、約2,000名の地球人スタッフを常駐させて箝口令を守らせ、建設会社からゴミ回収業者まで機密保持を徹底させ、約7,000平方Kmの施設を住民の目から隠蔽している、ということになりそうです。
この結論から、「だからそんな話はヨタだ」とするか、「だから恐るべき大規模な陰謀なんだ」とするかは読者の勝手ですが、こういう風に具体的な数字を上げて考えることが大切なんだよ、という話でした。
[超地球人説]
というわけでジョン・キールです。この名前を出せば、「これから書くことは最初から最後までただの悪ふざけだが、それはそれとして真面目に書くので、そっちもそれなりに神妙な顔で読んでくれ」というサインになるそうなので、大変便利です。
で、ですね、バクスターと言えばマンモス、キールと言えばモスマン。そうでなきゃいけません。な〜にが『プロフェシー』か。映画化されたからって浮ついちゃいかん。アレはあくまで『モスマンの黙示』です。見なさい、このインパクト。オカルト本のキモは書名です。あと、インパクト満点だった『四次元から来た怪獣』も、えーと、何だっけ、思い出せないくらい弱い書名に改題されたし、『宇宙からのエヴァンゲリオン』に至っては何を言っておるのか人をおちょくるのもいい加減にせえという感じで、とにかくキールの翻訳本のタイトルは悲しいことになっています。どうか『UFO超地球人説』は再販にあたって変な改題されませんように。というかそもそも再販されますように。
UFO研究家に言わせると、キールといえばモスマンじゃなくて“超地球人説”なんだそうです。そりゃ確かに、“UFO=宇宙人の乗物”という固定概念を崩した功績は分かりますが、皆さんここでよーく考えてみて下さい。超地球人って、何ですか? 宇宙人じゃなく普通の地球人でもない、という以外に何も言ってません。これなら、「超地底人」だって、「超未来人」だって、「超ラテン系」だって、何だって言えます。っていうか「UFO=超ラテン系説」ってイイ感じなのでメモメモ。
で、この“UFOは宇宙から来たものではなく、地球に由来する現象である”という考えですが、そりゃ当然だけど口にしないのが大人の態度ってもんでしょう。だって、昔のUFOはペンシルロケットだったんですよ。その前は飛行船でした。もっと前は帆船。そんなもんがはるばる宇宙からやってくるはずがありません。ええ。UFOの正体が何であれ、それが我々の精神に由来することは確かです。あ、今「UFOはボクらの心の中にある」というフレーズを思いついたのでメモメモ。
そこで、この“超地球人説”をサカナに、ユーフォロジィ(UFO学)の基礎について、皆さんと一緒に考えてゆくことにしましょう。今、そう決めました。ユーフォロジィというと、ものすげぇうさん臭い感じがしますが、基礎だけならそんなにトンデモじゃありません。科学的と言っても語弊はないでしょう。例えば、いくつかのもっともらしい前提と、検証可能な仮説を置けば、UFOの正体について何も考察することなしに“超地球人説”の正しさを示すことが出来ます。嘘だろうって?それをやってみるのが今回の話です。まあ、眉にツバつけつつ読んで下さいな。
さて、そもそも科学者というのは、実は超常現象を調べるプロなんです。ただし、科学者はそれらを「アノマリー」などと呼び、決して超常現象とは言いません。アノマリーという単語は“ノーマルじゃない”という意味ですから、超常現象と訳していいと思うのですが、科学者は絶対にそういう訳語を認めないのです。まあ、いずれにせよ、実験またはフィールドワークによって得たデータ群の中に、既知理論からは説明できない異常なデータが含まれていた場合、科学者は、とりあえずそれをアノマリーとして分離し、それから決まった手順でそれを解析してゆきます。これはもう、科学者なら生涯に何度も繰り返す手順です。科学者が超常現象を調べるプロだというのは、そういう意味です。
では、UFO現象についても同じ手順でやってみましょう。科学者は、まず最初のステップとして、アノマリーがノイズあるいはフェイクではないかを徹底的に確認します。実験手順に間違いはないか、処理プログラムにエラーはないか、実験助手が二日酔いではなかったか、学生が仕組んだイタズラではないか、などなど。たぶんUFO現象はこのステップで「本物だと見なすだけの証拠なし」として棄却されることでしょうが、それでは話になりませんから、ここで前提を置きます。「UFO現象の大半は、既知現象の見誤りや幻覚などの“誤認UFO”だが、一部に既知理論では説明できない“真性UFO”が含まれている」という前提です。というか、この前提がないとユーフォロジーが成り立ちません。
ついでに、「真性UFOは、宇宙起源であるか、地球起源であるか、どちらかである」「宇宙起源の現象と、地球起源の現象の間には、直接的な因果関係はない」という前提も認めて下さい。あと、“超地球人説”とは、“真性UFOは地球起源である”という命題のことだ、と定義します。さあ、これで準備はOKです。
アノマリーが本物だと確認されたことにします。ここで「アノマリーの正体は何か」などと悩んではいけません。科学者は淡々と手続きに従って相関分析を行います。アノマリーデータ群をAとし、それと相関関係にある既知データ群Bを探すのです。ここで、AとBが相関関係にあるというのは、厳密に言うと難しい数式やら哲学的議論まであってややこしいのですが、とにかくAの増減と何となく連動して増減しているBを見つけるのです。もし見つかったとしても、いきなり「BがAの原因だったんだ」とか結論してはいけません。それでは「サザエさんが株価を動かしている」ということになってしまいます。(サザエさんの視聴率と、日経平均株価の上下には、強い相関関係があることが確認されています)
余談ですが、相関関係と因果関係をわざと間違えることで、いくらでもトンデモ本が書けます。そうですね、皆さんがUFO本を書いて出版界にデビューし、キールを目指したいとしましょう。そこで、例えば米国の各都市について、UFO目撃ケースの数(A)と、ゲームマシンの売り上げ(B)を調べて、それらのデータをチャートに書いてみます。たぶん、両者はかなり強い相関関係にあるはずです。ここで「AもBも都市人口が多いほど大きくなるデータだから当然」などと納得していては、いつまでたってもキールに追いつけません。あえて「AとBは因果関係にある」と結論づけて、『UFOの原因はゲーム脳だった!』という原稿を書いて、たま出版に持ち込むのです。まあ、ボツを食らったとしても、徳間書店に持ち込めばよいでしょう。その際には、“PS3に隠された人類滅亡への戦慄の最終シナリオ”くらいの副題をつけておく必要があります。って何の話でしたっけ?
話を戻して、ここで検証可能な仮説を一つ持ち込みます。毎年の、真性UFOの目撃数(A)と誤認UFOの目撃数(B)には正の相関関係がある、という仮説です。これは検証可能ですし、たぶん検証すれば正しいと認められると思うんですよね。というのも、あちこちのUFO本を読んだところでは、年によってUFO目撃ケースの絶対数は大きく変動する(特に多い年はフラップと呼ばれる)のに、“UFO目撃ケースのうち、説明がつかないケース(真性UFO)の割合”は常に3〜5パーセント前後で、あまり年によって変わらないし、目撃ケースの絶対数とも連動してないように見えるからです。
アノマリーデータ(A)と相関関係にある既知データ(B)が見つかった場合、科学者は「共通要因Cが存在し、それぞれA=C、B=Cの間に因果関係が成立している」と考えます。さきほどの例で言えば、ある都市について、AがUFO目撃数、Bがゲームマシン売上、そしてCが人口、ということになります。科学者は、このようにAと相関関係にある既知ゲータをB1、B2、B3という具合にいくつも見つけてきます。Bnは既知データですから、それら全てと因果関係にある共通要因Cを見つけることは困難ではありません。さあ、Cが見つかりました。ここで科学者は「Cがアノマリー(A)の原因である」という作業仮説を立てます。では、検証しましょう。ただし、ここで作業仮説を支持する事例を探すようでは素人です。科学者は、作業仮説を否定する事例を探します。徹底的に反証を探して、どうしても見つからないようなら、ようやく作業仮説を「仮説」に昇格させます。ここまでくれば、ちょこっと論文なぞ書いて、同業者の厳しい批判を受ける準備が整ったことになります。
では、これをUFO現象に応用してみましょう。毎年の、真性UFOの目撃数(A)と誤認UFOの目撃数(B)に正の相関関係がある、としましょう。すると、AとBの共通要因Cが存在することになります。共通要因の定義上、CとBは直接的な因果関係にあります。Bは明らかに地球起源の現象です。「宇宙起源の現象と、地球起源の現象の間には、直接的な因果関係はない」という前提を置いてますから、当然ながらCも地球起源の現象ということになります。そして、Cが共通要因であるからには、CとAも直接的な因果関係にありますから、Aも地球起源の現象ということになります。Aは宇宙起源か地球起源かのいずれかだという前提を置きましたから、Aの全ては地球起源の現象です。これはつまり“真性UFOは地球起源である”ということです。よって“超地球人説”は正しいということが証明されました。Q.E.D。
えーと、別に騙してはいませんよ。もちろん、いくつかの前提や仮定が正しいならという条件付きですが、“真性UFOは地球起源である”という命題は真なのです。では、途中の前提や仮定はどのくらい正しいと見なすべきでしょうか?反証(真性UFOが宇宙起源だという証拠物件)はどのくらいあるでしょうか? ユーフォロジーはこんな感じで議論する学問です。
ここで強調しておきたいのは、ここまでの議論には一切「UFOの正体は何か」という当て推量が含まれてないということです。UFOの正体が何であっても、ここまでの議論には影響しません。これは考えて見ればスゴいことです。
というわけで、今回の結論
・UFOの正体が分からなくても、ユーフォロジーの議論は可能です
・相関関係を因果関係と見なすことで、トンデモ本を書くことが出来ます
・でもキールに追いつくのは大変です。あとUFO地球起源説はたぶん正しいです
・UFOはボクたちの心の中にあります
[ボルト&ナット]
写真にも写り
レーダーにも写り
東の牧場に墜落すれば、破片をまき散らし
西の穀物畑に着陸すれば、丸い痕跡を残し
決して捕獲されることなく
捕獲されたとの噂絶えることなく
プラズマでもなく
生き物でもなく
ボルト&ナットな重量感を持つ
そういうメカでUFOはありたい
おひさしぶりでございます。今回は「ボルト&ナットなUFO=空飛ぶ円盤は、どういう原理で飛んでいるのか」という深遠なテーマについて、恒例のヨタ話なぞ書いてみたいと思います。例によって長くなりますが、どうぞ最後までよろしくお付き合いのほどを。
さて、何しろ空飛ぶ円盤ですから、とにかく翼もないのに軽々と空を飛ばなきゃいけません。急旋回、急停止、瞬時加速、木の葉運動など、航空力学どころか重力も無視した挙動を軽々とやってのけるくせに、やたら墜落するという、不思議な不思議な池袋。
色々と調べたのですが、空飛ぶ円盤の飛行原理についてちゃんと書かれた本というのは意外に少ないんですね。というか無いです。そこで、基準を緩くして、ちゃんとでなくてもいいから、とにかく何か書いてある本を集めて並べてみると、まあ大雑把に言って、空飛ぶ円盤の飛行原理については次の3種類の説があることが分かりました。
1.現在の科学では知られていない未知の原理で飛んでいる
2.重力を制御している、あるいは反重力を使っている
3.よく分からないが、電磁場に関係しているようだ
1や2だと話が全く進まないので、とりあえずここでは3の電磁場説を採用したいと思います。この説の良いところは、まずUFO遭遇事件でしばしば報告される電磁気異常(消える照明、ラジオや電話に混じるノイズ、動かなくなる車のスターター、謎の発光あるいは放電現象、など)の説明がつきそうな気がすることです。次に、テスラ、ベアデン、ハチソン、清家新一先生など、オカルト電磁気現象の研究家の仕事がヒントになるかも知れないこと。最後に、チャネリングなどの電波系、じゃなくて精神世界系の話題と相性がよいことです。
では、まず電波(正確には電磁波)について、基本から見直してみましょう。
電子を加速運動させると、いや減速運動させてもそうですが、もれなく電波が放射されます。これは高校の物理の時間に教わる基本中の基本ですが、これを教わった瞬間、良い子は必ず手を挙げて、大きな声で質問しなければなりません。
「先生! アインシュタインの等価交換原理によれば、重力と加速度の効果は区別できないはずです。すると、地上で静止している電子は、無限に電波を放射し続けるんですか?」
これはもう定番質問でして、これが出ないと物理の教師は大いに失望すると言われています。この書き込みを読んでいる高校生の皆さんは、まだ若いのにこんな掲示板読んでんじゃねーよ、是非この質問を出してあげて下さい。そうすれば、物理の教師もちゃんと答えてくれるはずです。
「いいか、アインシュタインが提唱したのは、“等価原理”だ!」
話を電波に戻します。要するに電子を加速すれば良いのですから、電波を作り出すのは割と簡単です。ワイヤなど導体を適当に丸めてコイル状にして、両端にかける電圧を変動させてやればよろしい。電子は導体中を右往左往して、コイルの長軸方向に電波がゆんゆん放射されるという仕掛けです。
さて、電波は波ですから、波の重ね合わせの法則に従います。ある電波に、それと位相が180度ずれた(波形が反転している)電波を重ね合わせてやると、お互いに打ち消されて消滅するわけです。これは、最近流行りのヘッドフォンに付いているノイズキャンセラ機能の原理ですね。ノイズキャンセラというのは、周囲の雑音を検知して、それと位相が180度ずれた(波形反転の)音波を発生させ、波の重ね合わせにより消音するという仕掛けです。科学忍者隊ガッチャマンが、ギャラクターの殺人音波攻撃を受けたとき、それを打ち消すのに使ったアレです。高校生の皆さんは読むなと言ったはずです。
さきほどのコイルと同じものをもう一つ作って、位相が180度ずれた電圧をかけてみましょう。波の重ね合わせにより、最初のコイルから放射される電波は、打ち消されて弱まってしまいます。2つのコイルをぴたりと重ねたとすると、互いに逆波形になっている電波もぴたり重なって、互いに打ち消し合い、完全に消滅します。今や、電波は一切検知できなくなりました。
しかし、ここでよく考えてみましょう。どちらのコイルも、もともと電波の形でエネルギーを放射していたのです。エネルギー保存則からして、両者を重ね合わせた状態でも、両コイルはエネルギーを放射し続けているはずです。電波は全く検知できないにも関わらず、エネルギーは放射され続けているのです。すなわち、検知できない何か特殊な電波が放射されているのですね。この検知不能な電波は、よく「スカラー波」と呼ばれます。最近この用語はちょっとマズいらしいので、提唱者のベアデンさんには申し訳ないのですが、ここでは仮に「ゆんゆん波」と呼ぶことにさせて下さい。気に入らなければ、以降の文章をエディタに入れて「ゆんゆん」を「スカラー」に一括変換してから読むとよいでしょう。
ゆんゆん波は通常の方法では検知できません。ということは、ゆんゆん波は通常の物質とは相互作用しないということを意味します。しかし、ゆんゆん波と相互作用するものがこの世に2つだけ存在します。その一つは人間です。なんでやねんっ、という突っ込みは分かりますが、すでに話はマクー空間に入って3倍の強さになっています。そんな突っ込みなどかすりもしません。そう、人間の脳は、ゆんゆん波を受信することができるのです。これはつまり、ゆんゆん波による放送、ゆんゆん放送が可能だということです。
さきほど説明した、ゆんゆん波放射コイル(逆位相電圧をかけた2つのコイルを重ね合わせたもの)に、変調器とマイクを取り付ければ、ゆんゆん放送局の出来上がりです。マイクに入力した音声は、ゆんゆん波に乗って放射され、不幸にして同調してしまったリスナーの脳内で再生されます。
・お前はクズだ。生きていても仕方ない。死ね、死ね、死ね、死ね・・・
・あいつを殺せ、殺すんだ、殺すんだ、殺すんだ・・・
なんて物騒な命令を24時間ぶっ続けで聞かせるとか、
・ワタシは金星のヴィーナ、地球の危機についてお話します。
・前世でムーの神官戦士だった者です。仲間を探しています。
・はい、ウンモ星人です。みんな元気かな。身長が3メートルあるというのは
全くのデマですよ。あと、シリウスミステリーとオリオンミステリー、
ニャントロ星人とエルバッキー、ここら辺、全然違うので、地球の皆さんは
もっとよく勉強して下さいね。
などと嘘八百を吹き込んでやってもよいでしょう。こうやって電波で宇宙人とお話しているのが、いわゆるチャネラーです。なお、チャネラーのうち、実は電波など受信してないのにネタとしてやっている者は、2チャネラーと呼ばれます。嘘です。
ゆんゆん波は通常の物質と相互作用しないので、電磁遮蔽することができません。よく頭にアルミホイルを巻くとよいとか、部屋の壁全面にアルミ箔を張り付けて閉じこもるとか、白い布だとか、アースの紋章だとか、ゆんゆん放送を遮蔽できると思っている人がいますが、残念ながらそれは無理です。対策はただ一つ、同調を外すことです。やり方はお医者さんが知っています。皆さんも、不幸にしてゆんゆん放送を受信したら、下手な素人考えで遮蔽しようとしたりしないで、すぐに精神科あるいは心療内科に駆けつけて下さい。適切な薬を飲むだけで、すっきり同調が外れますよ。
ゆんゆん波は放送に使えるだけではなく、エネルギーの伝達手段としても使えます。ゆんゆん波放射コイルの出力を大幅に高めましょう。ゆんゆん波兵器です。放射される高出力ゆんゆん波が、ターゲットとなる場所に集中するように、沢山のゆんゆん波兵器を慎重に配置します。犠牲者がターゲットエリアにいることを確かめた上で、全てのゆんゆん波兵器をONにします。高出力ゆんゆん波が集中すると、人間はひとたまりもありません。一気に加熱されて、身体から炎を吹き出して焼死してしまうことでしょう(足だけ残して)。ゆんゆん波は人間としか相互作用しませんから、壁や床、それどころかカーテンやソファに至るまでほとんど焼けません。完全犯罪ですね。
そして、ゆんゆん波によって運動エネルギーを伝えることも出来ます。
ゆんゆん波も電磁波ですから、その媒体である「ゆんゆん電磁場」があるわけです。ゆんゆん電磁場に置かれたゆんゆん波放射コイルには、当然のことながら電磁力が働きます。フレミング左手の法則というやつですね。さきほど「ゆんゆん波と相互作用するものがこの世に2つだけ存在します。その一つは人間です」と書きましたが、もう一つが、もちろん、ゆんゆん波放射コイルそのものです。
この原理を応用すると、ゆんゆん電磁場によるリニアモーターカーを作ることが出来ます。ゆんゆん電磁場発生コイルを地表に並べて、ゆんゆん電磁場をリニアモーターと同じやり方で変動させます。ここに、ゆんゆん波放射コイルを内蔵した乗物を置くと、乗物は電磁力によって浮上し、前進します。
ようやく、話が空飛ぶ円盤にたどり着きました。そう、空飛ぶ円盤は、ゆんゆん波放射コイルを搭載したボルト&ナットな乗物であり、地表に多数配置されたゆんゆん電磁場発生コイルによって飛んでいるのです。こう考えると、空飛ぶ円盤に遭遇したときに生ずる電磁気異常現象、脳内に響くテレパシー、などが生ずる理由がよく分かります。
また、空飛ぶ円盤がなぜ墜落するのかも理解できます。空飛ぶ円盤に搭載されているのは、航法制御、姿勢制御のためのコイルだけです。浮力と推進力は、地表に設置されたゆんゆん電磁場発生コイル(が発生させるゆんゆん電磁場)から与えられるのです。円盤を整備しているのは謎の搭乗員だとしても、地表設備のメンテナンスを担当しているのは地球人でしょう。それも、その大多数は、自分が保守しているものが何であるか知らされずに仕事をしている下請け社員、さらにはアルバイトに過ぎません。不備もあるでしょう。人手不足で手が回らないこともあるでしょう。手抜きだってあるかも知れません。そうやってゆんゆん電磁場発生コイルが機能停止すると、その付近を飛んでいた円盤はもちろん墜落します。搭乗員からすれば、「空飛ぶ円盤はやたらと墜落する」と言われるのは心外に違いありません。「俺たちのせいじゃねぇよ。下の整備担当に言ってくれよ」という気持ちをくんでやって下さい。
では、地表に多数配置されたゆんゆん電磁場発生コイルはどこにあるのでしょうか?
答え:電信柱の上に堂々と搭載されています。よく観察してみて下さい。
そもそも前世紀のうちに、電力ケーブルの埋設工事は全て完了しています。今や、電力線は全て地下を通っているのです。では、いまだ街中に乱立している電信柱は何のためにあるのでしょうか。そう、ゆんゆん電磁場を発生させるためですとも。あれは空飛ぶ円盤のために用意された交通インフラなのです。電信柱で支えられている電線は、どこかに電力を運ぶためにあるのではありません。電信柱の上にある装置に、電力を供給するためにあるのです。
では電力会社が黒幕か、と思うでしょうが、それは私には何とも申し上げられません。ただ、あらゆる企業の生命線である電力を支配し、全国に張りめぐらせた最大の通信インフラ(光ケーブル)をおさえ、全ての原子炉を支配している組織が、何の陰謀もやってないと考える方が変ではないでしょうか。
今回のまとめ
・空飛ぶ円盤のエンジンは、意外に私たちの身近にあるのですね
・電波を受信したときは、迷わず医者に相談しましょう
・電気料はきちんと払いましょう。じゃんっ、電気を大切にね。
[エイリアンクラフト]
帆船→謎の飛行船→幽霊ロケット→空飛ぶ円盤、と進んできたUFOの歴史。あるいは、同じ種族だと思われる遭遇ケースがほとんどない上、1G重力下で苦もなく歩き回り、大気を平気で呼吸し、現地語を話し、世界の危機について陳腐なお説教をたれる搭乗員たち。これらのことを真面目に考えれば、いわゆる「エイリアンクラフト説」=UFOは宇宙人の乗物である説、にはかなり無理があることがすぐに分かってしまいます。
しかし、やはりボク達は「UFOの正体がエイリアンクラフトだったらいいのに」とか「買ってない宝くじが当たればいいのに」とか「自分が世界でたった一つの花ならいいのに」などと考えてしまいます。願ってしまいます。それが人間というものなのでしょう。
そこで、今回はエイリアンクラフト説について考えてみましょう。
さて、科学者は「宇宙人」のことを地球外知的生命体と呼びます。それはもう、こちらが「つまり宇宙人のことですね」と突っ込んだとしても、頑として「違う違う。地球外知的生命体、略して“チキガイ、イタイ”じゃ」などと言い張るのです。嘘です。本当はETIと呼びます。発音はエタイだと思います。え、違うんですか?
で、エタイが知れない話(SETI:地球外知的生命探査)について書かれた本は多いのですが、私が調べた範囲では、ほとんど必ず「ドレイク方程式」の話から始まっています。うんざりしてきますね。確かにドレイク方程式は重要ですが、何というか、あれは単に議論を整理するための指標に過ぎないと思うんですよね。例えていうなら、複雑な問題について討議するために専門家会議を開くとき、テーマ(イシュー)毎に作業部会1、作業部会2、というように小会議を設置して見通しよく議論する、そんな感じ。議論を整理する上では非常に有効ですが、何というか、こう、妄想を生まないのですよ。
我々の目的は妄想力を鍛えることにありますから(いつからそうなった?)、ドレイク方程式のことは忘れて、ここは一つ、「ファクトAとフェルミのパラドクス」から初めてみることにしましょう。
まず、“ファクトA”ですが、これはマイケル・ハートという研究者が書いた論文の中で使われた用語で、要するに「現在、地球にエタイは来てない」という“事実”を指します。こう言うと、ビリーバーの皆さんは反発することでしょうが、まあ落ち着いて下さい。科学の議論においては、誰も反証(物証)を出せない否定命題(何かが無いという命題)は、とりあえず議論を進める上で前提としてよい、という約束事があります。否定命題を議論の余地なく証明することはまず無理なので、話を進めるためにそういう約束事がどうしても必要になるのです。科学者は、こういう意味で“事実”(ファクト)という用語を使うわけです。日常的な意味の“事実”とは微妙に異なるので、あまりカッカしないで下さいね。ってか、この程度のことをわざわざ“ファクトA”などと仰々しく呼んで論文にするのはズルイと思う。
さて、フェルミのパラドクスとは何かと申しますと、「ファクトAは不思議なことであり、きちんとした説明が必要だ」という指摘のことです。かのエンリコ・フェルミ先生が言い出したとされています。なーんだ、と、がっかりしないで下さい。普通の人は、ファクトAを見ても、「この程度のことをわざわざ“ファクトA”などと仰々しく呼んで論文にするのはズルイ」くらいにしか思いません。それを「これは不思議なことだ。説明が必要だ」と見抜いたところに、フェルミ先生の慧眼があるわけです。
なぜ不思議なのか、どうして説明が必要なのか。それは、次のような推測が「自然」と見なせるからです。
1.我々が存在している以上、宇宙には他にも知的生命体が存在しているはず
2.すでにあらゆる星系が探査されるだけの時間は経過しているはず
3.それなのに“ファクトA”が成立するのはおかしい
4.つまり、1.か2.のいずれかが間違っているのだろう
5.であれば、どちらがどう間違っているか、きちんと説明する必要がある
フェルミのパラドクスについては、前述の1.を否定して解決する立場もあります。つまり「この広い宇宙に存在する知的生命はわれわれ地球人だけだ」と主張する立場です。でも、これだと何となく居心地が悪いと思いませんか? 「地球人だけが特別」と主張するのは、何だか、ためらいがある。何となくジコチューでココロガセマーイ感じがする。多くの科学者もそう考えました。
では、前述の2.を否定してはどうでしょうか。つまり「あちこちの星にエタイ文明が存在するのだが、まだ誰も地球にやってきてないのだ」と主張するのです。これは、いかにも自然な気がしますね。ところが、これを真っ向から否定したのが、かのフランク・ティプラー先生です。ティプラー先生は「ノイマン探査機を使えば、わずか200万年で銀河系全体を探査できるはずだ」と言い出したのですね。
ノイマン探査機とは、要するに惑星探査を目的に作られたノイマン・マシンです。ノイマン・マシンというのは、自己複製能力を備えたロボットのことで、最初にそのようなロボットを作れることを示したのが、かのコンピュータの父(っていうか、ありとあらゆるクールなアイデアの父)ノイマン先生だったというわけです。今では「自己複製するロボットを作ることが出来る」と言われても、当たり前じゃん、と思うでしょうが、DNAの複製メカニズムをズバリ予想していたという点で、やはり先駆者というのはスゴいのですよ。
ノイマン探査機による惑星探査の手順はこうです。自己複製するロボット(というか宇宙船)を、どこでもよいから近くの恒星系に送り込みます。探査機は、惑星を見つけてそこに着陸し、知的生命を探します。見つかれば、故郷に向けてその旨の連絡を送ります。「知的生命を発見。コンタクトを試みよ」と。さらに、ノイマン探査機は、自己複製して次々に自分と同じ宇宙船を建造します。そして、それらをあちこちの恒星系に送り込みます。
この手順でゆくと、最初は1隻だった探査機が、みるみるうちに増えてゆきます。最初の探査機も、次の探査機も、その次の探査機も、着陸した惑星の資源が枯渇するまで延々と自己複製を続け、次々に探査機を送り出し続けます。利子が利子を生む複利計算みたいなもので、ごく短期間のうちに事実上無数の借金、じゃなくて探査機がうようよと銀河中に広がってゆきます。確かに、ティプラー先生がおっしゃるように、200万年あれば銀河中のあらゆる恒星系にノイマン探査機が訪れる計算になります。
200万年というと長いような気がしますが、宇宙規模で考えれば極めて短期間だということに注意して下さい。例えば、地球が誕生してから50億年、生命が誕生してから40億年、人類の祖先となる猿人が立ち上がってから300万年。ほら、200万年なんて、あっという間でしょ? 少なくとも「銀河のどこかに、既にノイマン探査機を送り出したエタイ文明はあるのだが、まだ探査機は地球にまで到達してないのだ」と主張するのは無理があります。これで、前述の2.を否定するのは、かなり難しくなります。「エタイ文明は存在するが、ここ100億年くらい、誰もノイマン探査機のアイデアを思いつかず、ただ電波望遠鏡によるSETIとか地味にやってるだけ」というのは、ちょーっと考えにくいからです。
こうして、1.を否定するのも釈然とせず、2.を否定するのも難しい。では“ファクトA”をどう説明すればよいのか。これが「フェルミのパラドクス」というわけです。
さて、どう見ても当たり前で自然なことだと思えた“ファクトA”が、実は意外に不自然で、きちんと説明することが難しいということが分かりました。そこで、“ファクトA”はやっぱ間違ってるんじゃない? と考えてみましょう。すなわち、どこかのエタイ文明が送り出したノイマン探査機は、既に地球に到着し、今も着々と自己複製しているのだが、我々はそのことに気づいてない、と仮定するのです。
なぜ気づかないか、というのは簡単です。ティプラー先生が議論した頃に想定していたノイマン探査機は、巨大な宇宙船とそれを建造するための工業ロボット群でした。しかし、今日のナノテクノロジーの発達を見れば、十分に進んだ技術文明が送り出すノイマン探査機が、分子レベルの微小機械(ナノマシン)であることは、ほぼ間違いありません。探査機は小さければ小さいほど少ない資源とエネルギーで動作しますし、分子レベルで組み立てる方が自己複製も容易で、どんな組成の惑星でも(どんな重力の惑星でも)複製可能だからです。そう、あの『極微UFO』(目に見えないほど小さいUFOがインドの研究施設で発見されたというニュースが流れたんですよ)、その正体は、異星から送り込まれたノイマン探査機に違いありません。我々が気づかないのは、それがあまりにも小さいためです。
しかし、ノイマン探査機は、自己複製するだけでは意味がなく、故郷の星に向かって探査結果を知らせているはずでしたね。「知的生命を発見。コンタクトを試みよ」と。
ところーが、さあ、お立ち会い。よーく考えてみれば、なんで十分に進んだ技術文明を持つエタイさんが、「コンタクトを試みよ」なあんて報告する探査機を作るでしょうか。いえいえ、そんなのは資源やエネルギーの無駄です。少なくともノイマン探査機(それも微小機械型)を作るようなエタイさんなら、きっと「知的生命を発見。コンタクトさせるように誘導中」と報告するような探査機にすることでしょう。
すなわち、知的生命を発見すると、その神経系(脳)に働きかけて、「宇宙には他にも進んだ文明があるに違いない」とか「宇宙に出てゆきたい」とか「私は宇宙人の乗物を目撃した」とか「私は宇宙人に会った」とか、そういった妄想、じゃなくて概念や記憶を植えつける、そのような機能を持たせるに違いありません。
こういう概念や記憶を植えつけられた原住民は、自然と宇宙に興味を持ち、異星文明とのコンタクトの可能性に惹かれ、どうしても(経済的にペイしなくても)宇宙開発が止められず、勢いで技術文明を発達させて、いつの日か自分達もノイマン探査機を作って送り出してしまう、という仕掛けです。ふふふ、おぬしもワルよのう。
そう。故郷のエタイさんは、ノイマン探査機を送り出した後は、あちこちからメール(じゃなくて他の文明のノイマン探査機)が届くのを楽しみに待っていればよいのです。うーん、合理的だ。
というわけで、「UFOはボクたちの心の中にある」というのが正しいとしても、実はその背後には宇宙人が関わっているのです。ええそうです。そうに違いありません。そうこなくちゃいけません。UFOには宇宙人が関与しているのですよ奥さん。
いずれ、我々は地球印のノイマン探査機を送り出すことでしょう。その頃には、周囲の環境に隠れている微小ノイマン探査機を発見し、それを送ってきたエタイ文明について学ぶと共に、これまで目撃され続けたUFO現象についてようやく本当の原因を理解するに違いないのです。おお、きれいにまとまった。これでどだっ。
で、こう考えてみますに、実は「ノイマン探査機」こそが宇宙における知性の本質であり、生命とか文明というのは、それらが自己増殖するのを助けるための手段に過ぎないのではないか、という気がしてまいります。つまりですね、この宇宙は、多種多様なノイマン探査機が自己複製して広がり、それぞれのノイマン探査機が土着生命体を刺激して宇宙志向型文明を興させて新たな種類のノイマン探査機を生み出す、そういう場なのだと。これを「探査機プール」と呼びましょう。
探査機プールにおいては、より沢山の文明を興した探査機が成功して沢山の複製を広げる、という形の自然淘汰が行われています。自然淘汰により、億年単位で見ると、どんどん新たな文明、つまり新たな種類の探査機が生まれる一方、競争に負けた探査機は惑星資源を使い尽くして複製が頭打ちになって消えてゆく。宇宙全体として、文明はどんどん宇宙開発志向、ナノテクノロジー志向に“進化”してゆくのです。全ては、より多く、より早く複製するノイマン探査機のためです。
というわけで、我々地球人が文明を興したのも、UFOを目撃してしまうのも、どうしても宇宙に憧れちゃったりするのも、全てはノイマン探査機の自己複製のためだったのです。これが「利己的な探査機」仮説です(嘘)。いやー、またまた妄想力が鍛えられましたね。ではまた次回。
著者:馬場秀和
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